引越しで多いトラブルは?対処法や回避策、本当にあった事例も紹介【独自調査あり】
公開日 2025年09月08日

新生活の始まりとなる引越しでは、荷物の破損や業者との話の食い違いなど、思わぬトラブルが起きることもあります。なかには問題を抱えたまま「どこに相談したらいいかわからない」と悩む人もいるでしょう。
本記事では、引越しでよくあるトラブル例や対処法、相談先、そしてトラブルを未然に防ぐためのポイントについて解説します。
※本記事は水野総合FP事務所代表の水野 崇(みずの・たかし)さんが監修しています。
■目次
- 引越しで発生しやすいトラブルの例は?
- 1.訪問見積もり予約をしたが、時間になっても来ない
- 2.見積もり後の営業電話やメールが大量にくる
- 3.荷物や住居の傷、破損
- 4.スタッフ対応の不満
- 5.日程、時間に関するトラブル
- 6.料金に関するトラブル
- 7.荷物量に関するトラブル
- 引越しでトラブルが発生した時の対処法は?
- 利用規約や標準引越運送約款を確認する
- 事業所や本社に対応を相談する
- トラブル専門機関に相談する
- 弁護士に相談する
- 引越しでトラブルにあわないためのポイントは?
- 相見積もりを取り、比較検討する
- インターネットで口コミをチェックする
- 貴重品や壊れやすい荷物は自分で運ぶ
- 免責事項や補償内容などを確認しておく
- 新居・旧居、荷物など傷を確認する
- 相見積もり段階ではダンボールをもらわない
- キャンセルや内容変更などが発生する場合早めに連絡
- まとめ

引越しで発生しやすいトラブルの例は?
引越しでトラブルが生じるのは、引越し作業中とは限りません。事前の見積もり段階から作業完了後まで、さまざまなタイミングで発生する可能性があります。
まずは、引越しで発生しやすい7つのトラブル例を見ていきましょう。
1.訪問見積もり予約をしたが、時間になっても来ない

訪問見積もりの予約をしたにもかかわらず、約束の時間になっても担当者が現れないケースです。社内での連携不足やスケジュール管理の不備などが原因として考えられます。
本来であれば、到着が遅れるときは事前に連絡があるのが一般的ですが、時間になっても音沙汰がない場合は、営業担当者ではなく会社の窓口に直接状況を確認するのが有効です。
2.見積もり後の営業電話やメールが大量にくる

複数の業者に見積もりを依頼した場合など、契約を交わす前は連絡が過剰になることがあります。
余程のことがない限り、トラブルにまで発展することはなさそうですが、連絡を止めたい業者に対しては「すでに他社に決めた」などと伝え、きっぱり断ると良いでしょう。
3.荷物や住居の傷、破損

荷物の運搬中に、家具や家電をぶつけたり、落としたりすることで荷物や壁などに損傷が残るケースです。悪天候の日には、梱包の不備や運び方によって荷物が濡れてしまうこともあります。
丁寧な梱包をすることはもちろんですが、万が一に備え、損害補償の範囲などについて事前に確認しておくと安心です。
→解決法
利用規約や標準引越運送約款を確認する
事業所や本社に対応を相談する
トラブル実例.ドラム式洗濯機の設置ミスで新居に傷が
「新築一戸建てに引越し後、ドラム式洗濯機を動かしたら、ガタガタと大きな異音が鳴り、見に行くと洗濯機が大きく動き壁に何度もぶつかりクロスは破れ、石こうボードにもへこみが……。家電修理業者に見てもらったところ、引越し業者がドラム式洗濯機を運ぶ時に取り付けた『 固定ボルト』 が付いていたことが原因。最終的に、家電修理業者の費用 + クロス張り直し費用を引越し業者に支払ってもらいました。」(30代夫妻)
トラブル実例.マットレスが変形したが補償対象外だった
これも、よくある実例です。家具や部屋に傷がついたり、破損したりすると、補償してもらえることもありますが、物によっては対象外になります。
「クイーンサイズの大きめのマットレスを使用しているのですが、重さによる負荷がかかったようで新居到着時に少し変形していました。使えないほどではないけど明らかに変形した……という状態だったので、引越し業者に問い合わせましたが、トラックの中での振動が原因で不可抗力の場合は補償対象外、とのことでした。」(30代夫婦)
4.スタッフ対応の不満
現場スタッフの対応について、期待と異なる印象を受けることもあるようです。
例えば、荷物を運ぶ際の動作がやや荒く感じられたり、身だしなみへの配慮が不十分だったりするケースです。なかには、営業担当者と現場担当者の連携が取れておらず、当日の進行に支障が出ることも。
スタッフの対応は、業者選びの中でも重要な要素といえるでしょう。
→解決法
事業所や本社に対応を相談する
5.日程、時間に関するトラブル
「約束の日に届くはずのダンボールが届かなかった」「作業時間が予定していた時刻を大幅に超えた」など、資材の受け取りや準備、引越し作業の日程・時間に関するトラブルも見受けられます。
このようなトラブルは、引越し全体のスケジュールに影響を与えかねないため、事前の確認や余裕をもった計画を立てることが大切です。
→解決法
事業所や本社に対応を相談する
6.料金に関するトラブル
契約時の説明と異なる金額を請求されたり、事前に知らされていなかった費用が加算されたりするケースがあります。
例えば、新居へ大型家具を搬入する際に玄関から運び入れられないことが当日判明し、クレーンの使用が必要となり、想定外の料金が発生する場合などです。
見積もり段階で費用の内訳をしっかり確認することはもちろん、追加費用の条件についても明確にしておくことが重要です。
→解決法
利用規約や標準引越運送約款を確認する
事業所や本社に対応を相談する
7.荷物量に関するトラブル
引越し当日、荷物がトラックに収まりきらず、作業が滞ることがあります。
見積もり時よりも実際の荷物量が明らかに増えている場合や、業者側の判断で手配されたトラックが実際の荷物量に見合っていなかったときなどに起こります。
見積もり後に荷物が増えた場合は早めに業者へ連絡するなど、できる範囲で対策を立てておきましょう。
→解決法
利用規約や標準引越運送約款を確認する
事業所や本社に対応を相談する

引越しでトラブルが発生した時の対処法は?
引越しでトラブルが発生した場合は、状況に応じた適切な対応が必要です。
例えば、下記のように段階的に対処していきましょう。

利用規約や標準引越運送約款を確認する
まずは、契約時に交わした利用規約や標準引越運送約款(※)を確認しましょう。
※引越し業者と依頼者間の契約条件や義務、責任の範囲などを定めた、国土交通省が定めた標準的な契約書のこと
例えば、引越し業者との間で契約内容や対応について食い違いが生じると、口頭でのやり取りについては履歴を確認できず、言った・言わないでトラブルになるケースもあります。
利用規約や標準引越運送約款には、業者の責任範囲やサービスの基準が記載されているため、状況整理や業者への説明に役立ちます。
事業所や本社に対応を相談する
利用規約や標準引越運送約款を確認してもトラブルが解決しない、内容をうまく理解できない場合などは、事業所や本社に対応を相談してみましょう。
現場担当者では判断が難しいケースでも、カスタマーサポートやトラブル対応を専門とする部署であれば、より柔軟かつ責任ある対応が期待できるかもしれません。
その際は、発生したトラブルの経緯ややり取りの内容、日時、証拠となる写真や書面などを整理して伝えることが重要です。トラブルが発生したからといって感情的にはならず、冷静に状況をわかりやすく説明することで、解決につながる可能性が高まります。
トラブル専門機関に相談する
事業所や本社に相談しても解決の糸口が見えない場合は、トラブルを専門に扱う機関に相談してみましょう。
例えば、主な相談先は以下の通りです。
| 特徴 | |
|---|---|
| 国民生活センター | 国が運営する独立行政法人で、全国の消費者トラブルに関する情報の収集・分析や、消費生活センターの支援などを行う。 トラブルの解決が重要とされる紛争は、和解の仲介や仲裁といったADR(裁判外紛争解決手続)による解決を目指す。 |
| 消費生活センター | 地方自治体が運営する機関で、2024年4月時点において全国に858カ所ある。 契約トラブルや消費生活全般に関する苦情など、消費者からの相談に対して専門の相談員が直接対応する。 国民生活センターと連携を図りながら、消費者へ助言などを行う。 |
| 紛争解決センター | 弁護士会が運営する機関で、日常生活での少額なトラブルや身近な紛争を、裁判ではなく話し合いや仲裁によって解決する。 「仲裁センター」や「ADRセンター」などとも呼ばれ、2024年10月時点で全国に39センターがある。 |
| 不動産適正取引推進機構 | 不動産取引に関するトラブルの防止および解決を目的とする一般財団法人。引越しトラブル相談にも対応。 ADRによる調整・仲裁を目指すが、消費生活センターなどの公的な相談窓口を通じて申し立てる必要があり、利用者による直接申請を受け付けていないため注意が必要。 |
なお、どこに相談したら良いかわからないという人は、消費者庁が管轄する「消費者ホットライン(188)」への連絡も手段のひとつです。トラブルの内容や居住地に応じて、適切な窓口を案内してもらえます。
弁護士に相談する
ここまでに紹介したいずれかの方法でも解決しない、または相談先から「法的な手続きが必要である」と判断された場合などは、弁護士に相談してみましょう。
契約内容の精査や法的な対応策の提案、引越し業者との交渉など、プロの法律家に幅広い対応を任せられます。
必要に応じて裁判手続きに移行することも可能なため、相手が責任を否認している場合などでも、解決の見通しが立ちやすくなるでしょう。

引越しでトラブルにあわないためのポイントは?
引越しのトラブルは、ちょっとした思い込みや確認不足から発生することも少なくありません。
トラブルを防止するためにも、ここでは押さえておきたいポイントを7つ紹介します。
相見積もりを取り、比較検討する

引越し業者を選ぶ際は、複数社から相見積もりを取り、料金やサービス内容を比較検討しましょう。見積もり時の説明のわかりやすさや質問への対応姿勢なども判断材料になります。料金の安さだけを優先しないで、コミュニケーションで感じられる信頼感なども重要です。
一度に複数社とやり取りをするのが困難な場合は、一括見積もりサイトなどを活用して効率よく複数の業者に見積もりを依頼することも良いでしょう。
信頼できる業者を選ぶことが、トラブル回避の第一歩です。
インターネットで口コミをチェックする
事前にインターネットで口コミや評価を確認しておくことも有効です。
対応の丁寧さやトラブルの有無など、他の利用者の声から見えてくる情報があります。
ただし、口コミはあくまでも個人の主観に基づくため、すべての情報が公平とは限りません。なかには、依頼者と業者の相性や誤解が原因となっているケースもあるでしょう。
口コミは参考程度に留めつつ、実際に業者へ連絡を取って対応や説明のわかりやすさなども確認しながら、最終的には自分で判断することが大切です。
貴重品や壊れやすい荷物は自分で運ぶ
荷物の紛失や破損といったトラブルを防ぐために、大切な荷物は自分で運ぶという選択肢もあります。
まず、標準引越運送約款では、現金、有価証券、貴金属、宝石、美術品、骨董(こっとう)品などは「荷主が自ら携帯して運送すること」が求められており、原則、荷物にすることができません。現金や貴金属、印鑑、通帳などはバッグに入れて持ち歩き、精密機器やガラス製品、骨董品といった壊れやすい物は丁寧に梱包したうえで、自分の車などで運ぶと安心です。
特に貴重品類は、引越し業者も補償の対象外としている場合が多いため、手元で管理しておくことが望ましいです。
なお、引越しプランによっては保険が付帯しているケースもありますが、必要に応じて「引越荷物運送保険」への加入を検討するのも良いでしょう。
免責事項や補償内容などを確認しておく
標準引越運送約款に目を通し、免責事項や補償内容などを事前に確認しておくことが大切です。
業者側の過失がないケースや補償の上限額などを正しく把握しておくことが、トラブル回避につながります。特に約款は専門的な用語や表現も多いですが、契約内容を詳細に定める重要な書類ですので、しっかり理解しておきましょう。
また、見積書や契約書の記載内容も併せて確認し、曖昧な点や不安な点があれば業者へ確認することを徹底してください。
新居・旧居、荷物など傷を確認する

引越し前後には、新居・旧居の壁や床、家具などに傷や破損がないかを確認しておきましょう。
たとえ目立たない小さな傷でも、スマートフォンやカメラなどで撮影し、記録を残しておくことが重要です。記録があれば証拠として、責任の所在を明確にしたい場面などで役立ちます。
また、食器やグラス類といった割れ物などは、引越し後早めに荷ほどきをして状態を確認することをおすすめします。時間がたつと破損の原因を特定しづらくなるため、早めのチェックを心がけましょう。
相見積もり段階ではダンボールをもらわない
ダンボールの受け取りは契約後が一般的ですが、引越し業者の中には「キャンセルは3日前まで無料だから」と契約を促し、見積もり段階でダンボールを置かせてほしいと提案してくるケースもあります。
しかし、受け取ったダンボールを使用したり汚してしまったりすると、キャンセル時に費用を請求される可能性があるため注意が必要です。
相見積もりの段階など、正式に契約するまでは資材を受け取らないようにしましょう。
キャンセルや内容変更などが発生する場合早めに連絡
「契約を考えていたけれど他社に変更したい」「引越しの作業開始時間を遅くしてほしい」など、日程や作業内容に変更・キャンセルが生じた場合は、できるだけ早く業者に連絡することでトラブルを防止できます。
引越し前は何かと慌ただしくなり、つい連絡を後回しにしがちですが、直前の変更には業者側も対応できなかったり、追加料金が発生したりすることもあります。
スケジュールの再調整が必要など業者にも迷惑がかかるため、相談したいことがある場合は早めに連絡を入れるとスムーズです。

まとめ
引越しのトラブルは、引越し作業中だけでなく事前の見積もり段階から作業完了後まで、どのタイミングで発生するかわかりません。
しかし、免責事項・補償内容の確認や、キャンセル・変更が生じた際は業者へ早めに連絡を入れるなどの対応を心掛けることで、ある程度のトラブルは回避できます。
万が一トラブルが起きても、適切な相談先を活用すれば解決が望めるため、過度に不安を抱えず、冷静に対処していきましょう。
監修/水野 崇
水野総合FP事務所代表。相談、執筆・監修、講演・講師、取材協力、メディア出演など多方面で活躍するファイナンシャルプランナー。主なテレビ出演は、テレビ朝日『グッド!モーニング』、BSテレ東『マネーのまなび』、TOKYO MX『日曜はカラフル2』など。NHK土曜ドラマ『3000万』の家計監修・考証を担当。学校法人専門学校「東京ビジネス・アカデミー」非常勤講師。
【資格】宅地建物取引士|1級ファイナンシャル・プランニング技能士|CFP認定者 ほか
画像/PIXTA
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