税理士監修! 個人事業主、フリーランスの引越しに必要な届出と注意点

税理士監修! 個人事業主、フリーランスの引越しに必要な届出と注意点

「今の事業所では手狭になった」、「もっと便利な場所に移動したい」など、仕事の効率を考えて自宅や事業所の引越しを考えたときに気になるのは、さまざまな手続き。クレジットカードや銀行の住所変更、郵便局への転居届や郵便物の転送手続きなどのほか、確定申告も自身でおこなっている個人事業主は、税務関係の異動届けも忘れずに済ませておきたいものです。
でも、どこに何を届ければいいのか、どんな書類が必要なのか、どのタイミングで届け出ればいいのかなど、個人事業主の引越しは情報も少なく、分からないことだらけという人も多いのでは……。
そこで「税理士事務所センチュリーパートナーズ」の代表で税理士の斉藤一生先生に、個人事業主の引越しに必要な税務関係の手続きについてお話をお聞きしました。

引越しで税務関係の手続きが必要になるのはどんなとき?

個人で事業をおこなっている場合、自宅と事業所を兼用しているケースと、それぞれを別に構えているケースがあります。そのため、自宅と事業所を分けたいときにはどうすればいいのか、自宅の引越しでも届出が必要になるのか、また、どのような届出が必要なのか……など、悩む人も多いようです。

そんなとき着目するのは、「納税地」なのだそう。

「納税地とは、納税者がさまざまな申告や申請、届出、納税をするときの基準となる場所のことで、税務署の所轄の基準にもなります。個人の場合、原則は国内の住所地(住んでいるところ)となりますが、一定の手続きを踏めば事業所を納税地にすることもできますよ」と、斉藤先生。

引越しで届出が必要なのは、この「納税地」をほかの場所に変更するケース。そのため、住所地(自宅)が納税地という人は自宅を変えたとき、事業所=納税地の人は事業所の移転をしたときとなります。
例えば、自宅と事業所を別に構えていて、事業所=納税地だった場合、自宅の引越しでは税務関係の届出は必要ありませんが、事業所の引越しであれば届出が必要になるということですね。

「まずは自身の事業所の納税地がどこであるかを確認しておきましょう。それに従って、必要な手続きを確認するのがおすすめですよ」(斉藤先生、以下同)

必要な書類と、提出先や期限について

自分のする引越しが、「納税地を変更する引越し」であった場合、必要な届出には次のようなものがあります。なお、どの手続きにも手数料はかかりません。

【所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書】
納税地に変更があったことを知らせる書類。引越したのちなるべく早めに、引越し前の納税地を所轄する税務署、引越し後の納税地を所轄する税務署の両方に届出が必要。

【預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書】
これまで口座振替で納税をしていて、引き続き振替納税を利用したい場合に必要な書類。引越し後速やかに、引越し後の納税地を所轄する税務署へ提出。

また、給与を支払っている従業員がいる場合には、以下の届出も必要になります。

【給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書】
給与等の支払い事務をおこなう事務所の移転を知らせる書類。引越しから1カ月以内に、引越し前の納税地を所轄する税務署、引越し後の納税地を所轄する税務署の両方に届出が必要。

【健康保険・厚生年金保険事務所関係変更(訂正)届出書】
健康保険や厚生年金の適用を受けている事業所を運営している場合に必要となる書類。引越しから5日以内に、引越し後の事業所の所在地を所轄する年金事務所へ提出。

【適用事業所所在地・名称変更(訂正)届】
健康保険や厚生年金の適用を受けている事業所を運営している場合に必要となる書類で、事業所の所在地や名称変更のために届け出る。引越しから5日以内に、引越し後の事業所の所在地を所轄する健康保険組合へ提出。

【労働保険 名称、所在地等変更届】および【雇用保険事業主事業所各種変更届】
雇用保険に加入している場合に必要となる書類。引越しから10日以内に、引越し後の事業所を所轄する公共職業安定所へ提出。


「同じ税務署が所轄するエリア内での引越しであっても、住所が変わるため届出は必要となります。また、健康保険や厚生年金、雇用保険に関する手続きの場合には、新しい住所の住民票や賃貸契約書の写し、公共料金の領収書などの提示を求められることもあります。申請書類以外に必要となるものがあるかどうか、実際に届け出る前に、電話などで確認しておくのもよいでしょう」

届けを出すときのポイント

それぞれの届出書類には、基本的に控えがありません。しかし、「新たに銀行口座を開設する場合などに、事業を変更した証明となるものの提示を求められることがあるので、提出の際に忘れずに担当者に頼んで控えをもらっておくようにしましょう」と、斉藤先生。同じものを2部作成して提出すれば、受領印の押された控えをもらうことができるそうです。

「また、このとき、従業員のいる人が気をつけたいのはマイナンバーの取り扱いです。マイナンバーは重要な個人情報なので、従業員のマイナンバーを控えとなる用紙に記載しないよう注意してください」

届出先は、地域によっては同じ市区町村内であっても所轄する税務署が異なる場合があります。どこの税務署へ赴けばいいか分からない場合には、インターネットで検索すると該当の税務署を知ることができます。

また、税務署の受付時間に間に合わない場合や、窓口へ出向く時間が取れない場合などは、郵送での提出もできます。このとき、「切手を貼付した返信用の封筒を同封しておくと、控えを返送してもらえます。なお、確定申告をe-Tax(イータックス)でおこなっている人であれば、税務関係の各種届出もe-Taxで済ませることができますよ」とのアドバイスもくださいました。

引越し後の確定申告、どこの税務署に出せばいい?

無事に引越しも終え、年の瀬が近づいてきて来年のことを考えたときに、ふと気になるのが確定申告。
1月から12月までの所得にかかる申告納税を翌年の3月15日までにおこなうため、引越し前と引越し後どちらの税務署に申告すればいいのか悩む人が少なくありません。

とくに年明けから確定申告までの期間に引越した場合は「申告する内容は引越し前のことだから……」と、引越し前の税務署に届けてしまいがち。

「実際は、引越しや届出の時期にかかわらず、“確定申告をするときの納税地を所轄している税務署”に申告します。年度の途中で引越しても、年明けから確定申告までの期間に引越しても、必ず“引越し先の税務署”で確定申告をするようにしましょう。
また、個人事業主の引越しでは納税にも影響してきます。届出までの期間が短いものもあるので、用紙の取り寄せや記入など、引越し前から少しずつ準備を進めておくと、手続きがスムーズにできますよ」

個人事業主の引越しは、通常の引越しと比べて必要な作業が増えます。「どこに何を申請すればいいか分からない!」と悩んでしまいがちですが、事前にしっかりとリサーチして書類を用意しておいたり、「この申請はどこに出せばよいか」を把握したりしておくことで、引越し先でもスムーズに仕事を始めることができそうです。

●取材協力
税理士 斉藤一生
税理士事務所 センチュリーパートナーズ
HP:http://www.century-partners.jp/

掲載:2016年12月27日
写真:PIXTA

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