賃貸の引越し、退去立会いとは? 必要なものや時間、トラブル対策、注意点を解説
公開日 2023年10月05日
賃貸物件に住んでいる場合、引越しをする際には大家さんや不動産会社の担当者による立会いが必要です。立会いは何のために行われ、引越しまでにどういった準備をしておくべきなのでしょうか。
引越しの退去立会いの流れなど、知っておきたいポイントをまとめました。
■目次
引越し退去時の立会いとは?
引っ越し退去時の立会いを「退去立会い」といい、借主と大家さんまたは不動産会社が立会い、室内の現況を確認します。賃貸物件での退去立会いの目的は、退居に伴う修繕工事の負担を貸主側と借主側、どちらの負担とするか明確にするために行われます。
室内のキズや汚れの修繕は全て借主の負担になるわけではなく、入居前からあったもの、通常の使用でできたものや経年変化による劣化は除かれます。
のちに、室内状況の認識に齟齬(そご)が生じないように行われるものなので、トラブルを避けるためにも、立会いはできるだけ代理を立てずに本人が行うようにしましょう。
退去立会いは引越し当日がいい?立会い時間はどのくらい?
退去立会い日は、物件の解約日よりも前であればいつでも大丈夫です。引越し日と同一でなくても構いません。退去立会いは、引っ越し当日に行われることが多く、所要時間は、物件の大きさによりますが、20~40分程度です。一人で引越しを行う場合、新居での荷物の搬入に間に合わなくなるようなケースでは、退居立会いを引越し作業の翌日とすることもあります。
立会い日までに準備すること
退去立会い日を決める
新居への引越し日が決まったら、現居を管理する不動産会社への連絡が必要です。賃貸契約では、賃料は日割り計算で1カ月前までの解約通知が必要とされることが大半です。連絡が遅くなれば、新居の家賃と重なる期間が長くなり、よけいな賃料を支払うことになってしまいます。
引っ越し日が決まったらできるだけ早く不動産会社に退去通知をするとともに、引越し日と立会いを希望する日時を連絡しましょう。立会い日は解約日よりも前であれば、引越し日と同一でなくても構いませんが、引越しが終わってから旧居に戻るのは面倒。荷物がすべて運び出された後、引越し当日に退去立会いをすれば、引越し→掃除→退去立会いが1日で済み、効率的です。希望の日時に退去立会いをしてもらうためには、遅くても希望日の2週間ほど前には連絡をしたほうがよいでしょう。立会い日までにガスや水道、電気などの使用の停止や電話の移転手続きも忘れずに。
部屋の掃除をする
引越し当日までに、常識的な範囲で掃除を行います。退去後に、清掃業者が改めてクリーニングを行うため、ピカピカにする必要はありませんが、入居者には入居期間中と退去時に物件の維持管理が求められます。例えば、浴室の換気や掃除が適切に行われず、住んでいた期間に対してあまりにもひどいカビや汚れが発生した場合、費用の請求が発生する可能性があります。汚れやカビがひどい場合、立会いだけで除去するのは難しいので、引っ越し前から計画的に掃除をして立会い日を迎えましょう。
・掃除ポイント
浴室のカビ
敷きっぱなしの布団の床のカビ
水まわりの水垢
コンロや換気扇のすす、油
■参考記事
引越しで退去。部屋のお掃除はどこまですればいいの?
退去立会いに必要なもの
退去立会いで、大家さんや不動産会社と原状回復について確認し合う場合に必要な持ち物を紹介します。立会い時に慌てないように、引っ越し時の荷物とは別に分け、事前に用意しておきましょう。よくあるのが、鍵の本数や種類が足りないケース。鍵を紛失すると交換費用を請求されることがあるので、スペアキーも含め、事前に確認しましょう。
・必要なもの
賃貸借契約書
入居時に撮った写真
返却する鍵
備え付けの部屋の設備の説明書
銀行口座(敷金返還のため)
念のため、身分証や印鑑(はんこ)も用意しておくと安心です。
退去立会い当日の流れ
退去立会い当日の流れは、以下のとおりです(引っ越し当日に立会いをする場合)
- 引越し業者に部屋の荷物を運び出してもらう
- 荷物が運び出された後、大家さんまたは不動産会社と立会いを行う
- 立会い時に、室内の傷や汚れをチェックする
- 大家さん、不動産会社と合意できたらサインする
- 鍵を返却して退去する
引越し当日は、まず引越し会社による荷物の運び出しを行い、ガスの閉栓に立ち会う必要があれば、同時間帯で手配しておきます。荷物の運び出しが終わったら室内の掃除をしましょう。
最後に、大家さんや不動産会社の担当者の立会いのもと、室内のキズや設備機器等の破損の有無など、現況の確認をします。キズはもともとあったものか、入居後に新たにできたものか、その場で認識をすり合わせます。
契約書に引き渡し時の室内のキズなどの現況が書かれていたり、元々あったキズを入居の際に写真に収めている場合は話し合いがスムーズです。現況の確認が終わったら、書類にサインをしてその場で鍵を返却します。鍵を返却すると、物件の中には入れなくなるので、荷物の忘れ物がないように気を付けてください。退去立会い日までに、ガス・電気・水道などの解約や郵便物の転送届なども手続きしておきましょう。
退去立会いでチェックされるポイント
退去立会いでは具体的にどのような所がチェックされるのでしょうか。賃貸物件の損傷や汚損について、貸主・借主どちらの負担になるかが調べられます。常識的かつ日常的な使用の範囲を超えた使い方(故意・過失)が原因で起こる傷や汚れについては借主負担になります。主なチェックポイントをリストにしました。事前にセルフチェックして立会いにのぞみましょう。紹介したもの以外のチェックポイントについては、国土交通省が出している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に貸主と借主どちらが何をどこまで原状回復すべきかの目安が提示されています。
□床やフローリングに傷や汚れがあるか
通常の使用で汚れる範囲は大丈夫ですが、料理や飲み物をこぼしたまま放置したことで生じたシミは原状回復が必要です。
□壁に穴があいていないか
画鋲やピン程度の小さな穴は問題ありませんが、下地を傷つける恐れがある釘やネジによる穴は、張替えが必要になるため原状回復が必要です。
□壁紙(クロス)に傷や汚れがあるか
紫外線による変色など経年劣化によるものは、一般的に貸主側の負担になりますが、タバコによる黄ばみ、換気不足で発生したカビなどは借主負担です。
□温水洗浄便座、エアコン・換気扇は動くか
備え付けの設備機器について、動作確認が行われます。経年劣化による故障は貸主側負担ですが、長期間掃除を怠ったが原因で異常をきたしている場合は、借主負担になります。
□タバコの臭いがあるか
居室全体の壁などにタバコのヤニや臭いがある場合、該当する居室全体のクリーニングまたは張替費用が借主負担になることがあります。
□網戸が破れていないか
網戸の破れには経年劣化と人為的なものがあり、経年劣化の場合の張替え費用は、貸主が負担します。網戸にもたれかかったり、子どもが破いてしまった場合は、借主の負担で補修又は張り替えることになります。
退去立会いの注意点・トラブルなく行うコツ
退去立会いの際には、以下の点に注意してトラブルを防止しましょう。
納得できない場合は、その場ではっきり主張する
つけた覚えのない傷の修理が自分の負担になりそうなときは、入居した際には既についていた傷だとしっかり主張しましょう。退去立会いの最後に、立会いの証明としてサインを求められますが、慌てずに、原状回復が必要なキズや汚れの有無、修繕や交換が必要な箇所と負担者について、よく確認しましょう。
立会い後の流れ
不動産の担当者の退居立会いの後、敷金の精算の見積書が送付されてきます。室内のキズや設備機器等の破損のうち、借主負担となる修繕工事の項目や見積もり内容の確認をします。見積書では、主に以下の項目を確認しましょう。
- 賃貸借契約書で決めたことが守られているか
- 経年劣化による傷や汚れに修繕費を請求されていないか
- 原状回復費用に減価償却は考慮されているか
- 修繕項目の単位は正確か
借主負担の原状回復内容に疑問がある場合には、不動産会社に連絡をして説明を求め、交渉をしましょう。ほかに弁護士や消費生活センターに相談する方法があります。話し合いで解決しない場合には、裁判となるケースもみられます。
内容に異議がない場合には、敷金の精算が行われ、後日敷金の残金が振り込まれ完了です。
契約によりますが、返還金額は、物件の退去時、入居時に払った「敷金から-物件の原状回復にかかった費用」で算出します。原状回復にかかった費用が敷金よりも高い場合、追加請求が発生することもあります。見積書が届くのは退去立会いから約2週間後、残金の振り込みがあるのは、退去から1カ月後くらいになることが多いです。
まとめ
これまで書いてきたように、立会い時には、入居時と比較して傷や汚れの箇所を確認するため、本来は、借主本人が退去時に立会うことが望ましいです。何らかの理由で、当日立会いができない場合は、立会いに関する事務を代理人に委任する旨の委任状を提出して、代理人を立てましょう。
■参考記事
賃貸の退去費用の相場は? 入居者負担で妥当? 高額にならないためには?
賃貸物件から退去!敷金で損をしないための知識や掃除のポイント、退去連絡から立会い、敷金精算までの流れを紹介
写真: photo-ac PIXTA
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