熱帯魚の引っ越しどうする? 水槽の運び方や業者の探し方、長距離移動のストレスケアなどアクアリストYouTuberあかだまちゃんに聞いた
公開日 2024年06月11日
熱帯魚の世界に熱中するマニアたちの部屋には水槽がズラリと並んでいるということも珍しくありません。そんな中、話題によくのぼるのが、引越し時にぶつかる壁。正しい方法で運搬しないと大切な熱帯魚たちの元気がなくなってしまう危険性があるなどの理由から、引越し時の水槽の運搬は難易度が高く、引越し会社に断られてしまうことも。世の熱帯魚マニアたちは、引越し時はどのようにしているのでしょうか?
このシリーズでは、マニアックな趣味を持つ人々の引越しに焦点を当て、彼らが知る引越しのノウハウを探ります。今回は熱帯魚やアクアリウム、そして観葉植物に関する情報をSNSやYouTubeを通じて発信するYouTuber&インフルエンサーであり、カフェオーナーでもある、あかだまちゃんに、熱帯魚の引越しについて聞きました。
登録者数1.9万人の「あかだまちゃんネル」では植物やアクアリウムの情報を発信!
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アクアリストあかだまちゃん、圧巻の幅90㎝水槽ほか、だいたい大型水槽5個、小型の水槽20個以上の引越しは10回以上
熱帯魚と観葉植物が大好きなあかだまちゃんは、登録者数約2万人のYouTubeチャンネル「あかだまちゃんネル」を運営。好きが高じて植物やアクアリウム、メダカを楽しめるお店「グリーンウィズグッドコーヒー」もオープンするという、筋金入りのマニアです。
(写真提供/あかだまちゃん)
加えてあかだまちゃんは、引越し回数10回以上の引越しの達人でもあります。
「トータルで10回以上引越しをしていて、全て賃貸のお部屋です。印象深いのは最近の2回の引越しですね。これらの引越しは動画としてYouTubeでも公開しています。具体的には、ひとつは静岡のお部屋から千葉のお部屋への引越し。もうひとつは、約半年前の千葉のお部屋から静岡の新居とお店への引越しです」(あかだまちゃん)
あかだまちゃんは約半年前に自分のお店をオープンしたので、直近の引越しはお店と自宅の2カ所に荷物を分ける引越しになったのだそう。
■【アクアリウム】アクアリストのお引越し大作戦
「あかだまちゃんネル」で公開した引越しの様子
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熱帯魚の水槽の引越しは注意が必要
あかだまちゃんの引越しエピソードや熱帯魚の水槽の引越しのコツを聞く前に、なぜ熱帯魚の水槽の引越しは注意が必要なのかについておさらいしましょう。
熱帯魚の水槽は、引越し会社に運搬してもらえないことが多いのです。
引越し会社と消費者の間のトラブルを未然に防ぐことを目的に、国土交通省が定める「標準引越運送約款」というものがあります。その中に “引受拒否”ができるものの項目があり、そこに「動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの」という記述が。動植物、つまり熱帯魚もここに該当します。
熱帯魚は運搬時も保温や酸素の確保など特殊な処理をしなければならないほか、水槽の破損の危険性などもあり、配慮しなければいけないことがたくさんあります。
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熱帯魚の引越し 事前編① 引越し会社とのやりとり
引越し前の部屋で一番目を引くのが、幅90㎝の水槽!(写真提供/あかだまちゃん)
90㎝の水槽は、引越し前のリセットをへて、今はあかだまちゃんのお店で復活しています(写真提供/あかだまちゃん)
あかだまちゃんが以前住んでいた部屋には大型(幅90㎝)水槽があり、メディアで紹介もされるほど。水槽は今ではお店で活用していますが、このサイズの水槽がお家にあるのは圧巻ですよね。あかだまちゃんは多くの品種のメダカを中心に、グッピーやベタなどの熱帯魚を飼っています。
直近の引越しでも、この水槽をはじめ、大きな海水のボトル1個と、あとメダカを移動するためのプラスチックのケースを4ケース運ぶ必要がありました。
「熱帯魚の水槽は、空でもとても重いんですよ。引越しの際は本当に大変です。引越し前はその水槽にいろんな水草を育て、熱帯魚もたくさん飼っていましたから、水や魚、水槽などを入れたそのままの環境で運ぶのは、絶対に無理です。
私たちは、中身をリセットした水槽などは引越し会社に運搬をお任せして、熱帯魚は自分たちの車で運ぶことにしています」(あかだまちゃん)
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熱帯魚の引越し 事前編② 引越し先に運搬する魚と手放す魚を選ぶ
引越し直前のあかだまちゃんの水槽。苦労してつくった作品をリセットするのは勇気が必要だ(写真提供/あかだまちゃん)
「直近の引越しで自ら運んだのは、メダカと海水魚の小さな飼育ボトルくらいです。
自分で魚を運ぶ際に、配慮が必要になるのは熱帯魚の大きさと数と、運ぶ水槽のサイズとのバランスなんです。魚は、運搬用に用意した小さな水槽に入れるのですが、水槽の大きさに対して熱帯魚が大きかったりたくさん入っていたりすると、過密状態になってしまうんです。
水面に出て口をパクパクさせる様子になったら酸欠の危険信号なので、気を付けてくださいね」(あかだまちゃん)
あかだまちゃんは、前々回の静岡から千葉への引越しの際に、魚を過密状態で運んでしまい、後悔したといいます。
「その時の引越しでは、45㎝の水槽に、小さな熱帯魚をいっぱい入れて運んだんです。水草も全部入れて。するとスペースに対して水草の量と魚の量が多すぎて、過密状態になってしまいました。
魚だけでなく水草をたくさん入れてしまったのも失敗でした。水草は光合成で酸素を作り出す面もありますが、呼吸して酸素を消費する面もあります。光の当たらない状態だと、水草は光合成せず呼吸だけをするので、魚が必要な酸素を奪ってしまいます。
引越し先に着いたら、魚が明らかに酸欠で、顎を上げて、酸素を求めてる状態でした。いっぱいの魚や水草を小さな水槽に入れては駄目だなと、深く反省した出来事でした。
その経験があったので、直近の引越しで千葉から静岡に引越してくるときには、あまり多くの魚や大きい魚を連れてくるのは、諦めたほうがいいなと思いましたね。ですからメダカのような小さな魚以外は、信頼できるアクアショップに引き取ってもらいました」(あかだまちゃん)
引越し時は、魚や水草などをすべて取り出し、水槽を空の状態にした(写真提供/あかだまちゃん)
魚が酸欠にならないようにするためには、余裕のあるサイズの水槽で運ぶことが大切。運びきれない魚に関しては、無理して引越しせずに、信頼できる引き取り先に託すのも、魚への愛情だということですね。
それでも運びたいという場合は、熱帯魚専門の運送会社に依頼するという手もありますよ。
アクアショップに魚を託すには?
大型の熱帯魚は小さな水槽での移動に向かないため、アクアショップに引き取ってもらうことにしたあかだまちゃん。引越しの約2週間前に引き取り手を探して託したのだそうです。熱帯魚は、どのようにして引き取ってもらえるところを見つけるのでしょうか。
「ネットなどで調べれば、近所でも引き取ってくれるショップが見つかると思います。私の場合は、昔から付き合いのある東京のお店に託しました。当時の住まいだった千葉から東京のお店まで魚を運ぶのも大変だったのですが、自分の魚たちを最後まで大事にしてもらえるお店だという、信頼感が決め手になりましたね」(あかだまちゃん)
熱帯魚の引き取りをしてくれるショップはかなり多く、出張引き取りをしてくれるショップもあります。ただし引き取ってもらう場合は、引き取り出張費ともに費用がかかるケースもあるので、事前に費用を確認してください。
熱帯魚専門の運送会社や宅配会社に依頼するには
熱帯魚の引越しには、宅配便を利用する方法と専門業者に依頼する方法があります。宅配便の場合、水槽は別に梱包し、熱帯魚は薬剤と酸素を入れた厚手のビニール袋に入れて送ります。熱帯魚の輸送を認めているのは日本郵便のゆうパックのみですので、ご注意を。
一方、専門業者に依頼すると、長距離移動でも酸素量や水温管理をしてくれます。梱包から設置まですべて任せられる場合と、梱包は自分で行い、搬出から搬入までを依頼する場合があります。インターネットで見積もりが取れる業者もありますよ。
移動距離や水槽のサイズに応じて、30kmまでの移動で幅30cmの水槽を輸送する場合、熱帯魚のパッキングから水槽の分解、輸送、設置、そして熱帯魚の放流までの依頼については、2万円前後が見積もりの目安となります。
熱帯魚の大切な引越し作業は、状況に合わせて宅配便か専門業者を選んでくださいね。
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熱帯魚の引越し 事前編③ 運ぶ前の魚のコンディションづくり
水槽の中に水草で自然の環境を再現したネイチャーアクアリウム。あかだまちゃんにとって水槽は作品(写真提供/あかだまちゃん)
「引越し前夜の部屋の中は、何もなく、小さな水槽だけは稼働したまま、という感じです。前回の引越しでも、自分たちと一緒に移動する最小限の水槽と植物だけが、部屋に残っていました」(あかだまちゃん)
水槽の水位をギリギリまで下げてラップをし、空気穴を開ける(写真提供/あかだまちゃん)
引越し先に持って行く魚は「水位をギリギリまで下げて、ラップで蓋をして空気穴を開け、自分たちで持って行きました」と、あかだまちゃん。魚のエサやりについては、どうしたのでしょうか?
「事前に餌をあげすぎないのは鉄則です。餌を食べると、当然フンも出るので、移動中に水が汚れやすくなってしまいます。エサの消化もエネルギーを使うことなので、魚のストレスを軽減するためにも1日か2日前からは餌はあげないほうがいいように思います」(あかだまちゃん)
空腹のほうが、魚に消化のエネルギーを使わせないというメリットがあるとのこと。引越し直前の魚のエサやりは慎重に。
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熱帯魚の引越し 当日編:運び方
あかだまちゃんがメインで飼っているのは多種多様なメダカ。写真のマリアージュキッシングワイドフィン エメラルドフィンタイプは、観賞用の改良メダカ(写真提供/あかだまちゃん)
いよいよ引越し当日。熱帯魚たちはどのように運ばれるのでしょうか?
「小型の熱帯魚は移動用の水槽か、プラスチックケースに収容して自分たちで運びます。事前に水をこぼれにくくするために水位を下げておき、うまく車に載せられるように工夫しています」(あかだまちゃん)
熱帯魚の運搬時に何よりも大切なのが空気の供給、そして温度管理です。
「車内で水槽を運ぶときも、絶対にエアレーション(水中に空気を溶かしこむこと)を続けないといけません。ポータブル電源に空気ポンプを付けて、ブクブク空気を入れ続けていました。
また水が冷えないように、車内は暖房の温度を高めにしていましたね」(あかだまちゃん)
魚はラップで蓋をした水槽を、さらにプラスチックケースに入れて運んでいる(写真提供/あかだまちゃん)
また運転中の揺れにも気を付けなければいけません。
「移動中に水が漏れると、車内がグチャグチャになってしまいますし、水槽の水が零れて少なくなり過ぎると、魚も酸欠になってしまいます。ですから水槽上部にラップで蓋をしたり、車内に防水シートを敷いたりと、水漏れ対策が必要です。また横揺れに備えて、なるべく車のスペースに隙間ができないように、ギュウギュウに荷物を詰めることも、コツですね。
ラップで蓋をする場合は空気穴を開けること。そして水槽内に空気が入りすぎないようにすることに気をつけましょう。水槽内でエアレーションもしているので、穴を開けていたとしても、蓋をした水槽内が空気でパンパンになりやすいのです。水槽内に空気が入りすぎると水があふれる可能性があります」(あかだまちゃん)
長距離の移動となる場合は、休憩時のケアも大切。
「私が体験した千葉と静岡間の引越しは3時間ぐらいかかるので、時折サービスエリアなどに立ち寄って、魚の様子を確認していました。ラップを少しゆるめて、酸素が十分に行き渡っているか、過剰に入りすぎてないかをチェックしましたね」(あかだまちゃん)
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熱帯魚の引越し 新居到着編:魚のケア
あかだまちゃんのお店では、いろいろな種類の熱帯魚が飼われています。写真はグッピー(写真提供/あかだまちゃん)
何とか無事に熱帯魚たちを運び込むことができたとしても、飼い主にとっては、魚がダメージを受けていないかが気になりますよね。加えて新居に馴染めるように、最善のケアをしてあげたいものです。
あかだまちゃんは、引越し後はどのようなことに気を付けているのでしょうか?
「まずは引越しのために水を減らしているので、ゆっくりと元の水量に戻していきます」(あかだまちゃん)
ただし、いきなりたっぷりの水を入れてしまうのはよくないそう。
「一気に水を入れ過ぎると、水質が急に変わってしまって、魚にも、水を綺麗にしてくれるバクテリアにも負担になります。
ですから1時間ぐらいかけて、ゆっくりとカルキを抜いた水を入れて水位を戻してあげます」(あかだまちゃん)
新しい環境に順応するまでは様子を見つつ、徐々に環境を整えてあげましょう。
「最初の1週間ぐらいは、今までとは違う環境に魚が慣れるまで様子を見守る必要があります。
実は地域によって水道水の水質が、かなり違うんです。前々回の引越しの時にそのことに気が付いて、直近の引越しでは、pH(ペーハー)値を測ってみたのですが、千葉と静岡ではかなり数値が違いました。
熱帯魚や水草の飼育には、pH値がアルカリ性寄りの軟水がよいといわれています。引越し先でうまく飼育できないときの、原因究明にもつながるかもしれないので、引越し前後の地域の水質を測ってみるのはオススメです」(あかだまちゃん)
pH計は安価なものだと1000円ぐらいでオンラインショップなどでも購入できますよ! 引越し先の水質が以前の環境と大きく違っていたら、市販の「水質調整用ろ過材」を使って調整する方法もあります。
魚が新しい環境に慣れるまでは、なるべく環境を大きく変えないようにしてあげましょう。
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アクアリストの物件選び
あかだまちゃんの静岡の新居。アクアリウムは直射日光の当たらない場所に設置(写真提供/あかだまちゃん)
引越し経験豊富なあかだまちゃんに、物件選びについても聞きました。アクアリスト目線での内見時の確認項目があるそうです。
「水槽設置場所の日当たりや、コンセントの場所をチェックします。紫外線が直接水槽に当たるような環境だと、水槽が苔まみれになってしまうんです。
また水槽にはさまざまな設備が必要になってきます。ヒーターや照明、フィルターなど、全てが電気に頼っているので、水槽を置いたときに使いやすい場所にコンセントがある物件は、ポイントが高いです」(あかだまちゃん)
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これから引越しをするアクアリストへメッセージ
最後に、熱帯魚と一緒に引っ越すことを考えている人々へ向けて、あかだまちゃんからメッセージをいただきました。
「趣味は生活を豊かにしてくれます。特に生き物を飼うと、癒やされたり、気持ちが穏やかになったり、生活リズムが整ったりと、良いことがいっぱいありますよね。
確かに魚と一緒の引越しは大変です。魚は小さな生き物なので、環境の変化に弱く、引越しでダメージを受けてしまったり、最悪なケースだと死んでしまったりすることもあるかもしれません。
でも引越しの大変さ故に魚を飼うことをあきらめてしまうのは、もったいないと思うのです。事前準備によって、個人でも魚のためにできることはたくさんありますし、費用をかければ、熱帯魚専門の運送会社もありますから。
私の話が、これから引越しをする飼い主さんの役に立てば嬉しいです」
経験豊富なあかだまちゃんからの助言は、熱帯魚との生活を続けたい人にとって、大きな励みとなるはずです。この記事を参考に引越しを乗り越えて、新居でも充実したアクアライフを送ってくださいね。
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