荷物の持ち方に気をつけるだけでグッとラクに! 指圧師が教える「体が疲れにくい荷造り&引越しのコツ」
公開日 2022年07月29日
こんにちは。ライターの斎藤充博です。国家資格をもった指圧師でもあります。
実は最近引越しをしたばかりなのですが、引越しって本当に大変ですよね。
荷造りから始まり、当日の立ち合いや移動、引越し後の荷解き……どれも結構な重労働です。
引越し当日の運搬作業は引越しスタッフの方が行ってくれるとはいえ、その他の作業は、荷造り・荷解きを任せるプランを選ばない限り、基本的には自分たちで行うことになります。これでは、せっかくの新居で新しい生活が始まるというのに、ワクワクするよりもまず体がくたびれてしまう人も多いはず。
そこで今回は「体が疲れにくい引越しのコツ」をイラストで紹介したいと思います。僕は指圧師として「体が疲れにくい動き」を指導したり、本にまとめたりしていますが、その「引越し版」です。
これから引越しを控えている人も近い将来に引越しを考えている人も、ぜひ参考にしてみてください。

体が疲れない荷造りのコツ
まずは荷造りの中で、体を疲れにくくするためのコツや体への負担が大きい動きについて解説します。
床に座って荷物を詰めるときは片膝をついて
荷造りのときは本やCD、食器など「床に座って段ボールなどの箱に荷物を詰める」という動作が増えると思います。このときに気をつけたいのが「姿勢」です。
- ● 【やり方】
- ○ 1. 片膝をつく
- ○ 2. 膝をついていない方の手で、ものを持って入れる
ものを持って箱に入れるという動作は、上半身をよく使います。片膝をついておくと、上半身全体が動きやすくなり、腰や背中への負担が少なくなります。
逆に避けたいのは、片膝をつかない「蹲踞(そんきょ)」という姿勢(いわゆる“うんこ座り”ですね)や、正座の状態。
これらは下半身を完全に固定してしまうため、上半身を大きく動かそうとすると、腰や背中に大きな負担がかかります。
また「膝をついていない方の手で、ものを持って入れる」としています。体の下側に手を伸ばすときは、体重がかかっている方の足と逆側の方の手を使った方が腰への負担が少なくなるのです。
なお、両手でものを持ちたくなることもあると思います。その場合は両足の股関節の上から動くようにして、胴体をねじらないようにしてみましょう。腰に負担がかからずに動きやすくなります。
「ものを箱に入れる」というと、一見それほど力を使わない動作のように感じますが、何回か繰り返すと疲れてしまうので引越しの際は極力避けたいですね。
高いところにある荷物を取るときは「重心」を意識
戸棚の上など、高いところにあるものを取るときは「重心のかけ方」に気をつけます。
- ● 【やり方】
- ○ 1. 上げる手と同じ側の足に体重をかける(右手を上げるときは右足に)
- ○ 2. 上げる手と逆の方向に、ほんの少しだけ頭を傾かせる
こうすると、上げた手が胴体から伸びやすくなり、より高いところまで届くようになります。余裕をもって高いところにあるものを取ることができ、結果として体の負担が減ります。
取りたい荷物が重めのものの場合は両手を使わざるを得ないと思いますが、その場合は「両足の前側」に体重をかけます。
ちょっとしたことではありますが、これだけで体全体が上方に伸びやすくなり、上にあるものを取りやすくなります。
試しに両足の後ろ側に体重をかけたまま両腕を上げると体全体が上方にほとんど伸びないのが実感できると思います。

体への負担を減らす「荷物の運び方」
荷造りが済んだ段ボールを移動させるときも、持ち上げ方・下ろし方などを工夫するだけで体の負担を減らせます。
荷物を持ち上げるとき、手の力は「引き寄せるためだけ」に使う
段ボールなどの荷物を持ち上げるときは、以下のような手順で行ってみてください。
- ● 【やり方】
- ○ 1. 荷物に近寄り、片膝をつく
- ○ 2. 荷物を抱え、膝をゆっくり伸ばしつつ、腰を少しずつ上げていく
- ○ 3. 膝を真っすぐにし、立ち上がる
このようにすると、手や腕は「荷物を体に引き寄せて固定するだけ」の力しか使いません。
人間は手や腕よりも下半身の筋肉の方がずっと多いため、太ももなどを使った方がラクに荷物を持ち上げられるようになるのです。
荷物を床に置くときは「持ち上げるときの手順」を逆に
次に荷物の置き方を紹介します。
- ● 【やり方】
- ○ 1. 荷物をしっかりと抱えて立つ
- ○ 2. 手や腕は固定したまま、膝をゆっくり曲げながら、腰を少しずつ下ろしていく
- ○ 3. 片膝をついて、最後に荷物を床に下ろす
……とあえて手順を書いてみましたが、要は「荷物を持ち上げるとき」の手順を逆から行うだけ。上半身は固定して、その場で片膝をつくようなイメージで動作するとラクに置けます。
これだけはやめて! 荷物の上げ下げでNGな動き
荷物を持ち上げるときも、床に下ろすときも、絶対にやめてほしい動きがあります。
それは「荷物を持ったまま、下方向に腕を伸ばす」こと。イラストのように、膝が伸びて、腰が曲がっている状態ですね。
これは腕だけでなく、腰にも大きな負担がかかる動きです。最悪の場合、ぎっくり腰になる可能性もあります。
どうしてもこの動きをせざるを得ないときは、せめて軽く膝を曲げると腰への負担をある程度減らせます(が、やっぱりあまりおすすめはしません)。
荷物を抱えるときは“接地面”をより広く
次は「荷物の抱え方」についてです。そんな細かいことも……? と思われるかもしれませんが、こういった動作一つ一つの些細なことまで気を付けることが体への負担を軽減させてくれます。
- ● 【やり方】
- ○ 1. 可能な限り荷物の底面を持つ
- ○ 2. 脇を締めて、荷物を胴体の方に引き寄せる
このように、できるだけ胴体と荷物がくっついている面積を大きくするだけで、荷物を下半身で支えやすくなります。
脇が空いた状態で荷物を持つと、途端に腕や上半身が疲れやすくなってしまうので注意。自分と荷物が一体化しているようなイメージをもつとやりやすいかもしれません。
荷物を運ぶときは背中を反らさないように!
「荷物の抱え方」同様、荷物を持って歩くときも「荷物と体の接地面」を極力広くすることが疲労を抑えるポイントとなります。
- ● 【やり方】
- ○ 1. ほんの気持ちだけ背中を丸めて、荷物を抱え込むようにする
- ○ 2. そのまま上半身を固定して歩く
こうすると、荷物が胴体に密着しやすくなり、ラクに運べるようになります。
逆に「荷物を持ったまま背中を反らして歩く」のはおすすめできません。
重い荷物を持っていると、体勢を保つためつい背中を反らしてしまうことがあると思いますが、実はこの動作、意外と上半身が安定しないのです。結果、荷物がぐらつきやすくなり、その分余計な力を使ってしまうので、体への負担が増してしまいます。
そうはいっても、大きな段ボールを持つときは、どうしてもその構造上、背中を反らさないと持ち運べないこともあるかもしれません。やむを得ないときは、せめて「疲れやすい動きになっている」ということは自覚しながら体を使うといいと思います。
軽い荷物を運ぶときこそ試してみてほしい
ここまで「荷物を持ち運ぶときのコツ」について紹介してきました。実はこうした動きは、重い荷物を持つときには多くの人が自然と実行していたりします。
何も知らなくても、全身の力を効率的に使おうとすると、自然とこのような姿勢になっていくのでしょう。
ところが「軽い荷物」や「中くらいの重さの荷物」の場合、ついつい腕や手の力だけで持ってしまいがちです。
日常生活で短時間に少量の荷物を運ぶだけならそれで十分でも、引越しのようにたくさんの荷物を持ったり、運んだりするときは、だんだんと手や腕に疲労がたまってきてしまいます。
ぜひ重い荷物を運ぶとき以外も、面倒くさがらずに試してみてください。

引越しの合間にやりやすいストレッチ
最後に、荷造りから引越し当日、荷解きまで、さまざまな作業の合間にやりやすい休憩方法やストレッチを紹介します。引越しで疲れやすい「腰」や「背中」「太もも」などをメインにいたわります。
休憩する場合はあおむけになり膝を立てて
まずは引越し作業の合間にやってみてほしい休憩方法です。腰がラクになる姿勢で深呼吸することで、背中全体がリラックスできます。
- ● 【やり方】
- ○ 1. あおむけになる
- ○ 2. 軽く膝を立てる
- ○ 3. お尻を少し浮かして、ストンと落とす
- ○ 4. 自分のペースで大きな深呼吸を5回程度する
目安として「5回程度」と書きましたが、実際は好きなだけやって構いません。1畳程度のスペースがあれば可能ですので、周りが段ボールだらけで散らかっていてもできますよ。
人によってはかなり眠くなる休憩方法でもあります。眠る方が体はラクになりますが、「引越しが進まなかった」なんてことにならないように注意しましょう……。
膝を揺らして腰をほぐす
あおむけになって休憩したまま試してほしいのが、腰をほぐすこの動き。
- ● 【やり方】
- ○ 1. 先ほどの「あおむけになり膝を立てて休憩」の体勢をとる
- ○ 2. 膝を立てたまま左右に往復10回ほど振る
- ○ 3. 気持ち良かったら好きなだけ続ける
決して大きくストレッチされるわけではないのですが、腰の筋肉がほんのりとほぐれていくのが分かると思います。往復10回くらいと書きましたが、気持ち良かったら好きなだけ行ってください。
物足りない場合はあおむけで背中をねじってみて
ここまでのストレッチで物足りなさを感じたら、腰から背中全体を大きくねじってみましょう。
- ● 【やり方】
- ○ 1. あおむけになり、両腕を広げる
- ○ 2. 片方の膝を曲げて大きく内側に倒し、胴体をひねる
- ○ 3. 顔は胴体をひねっている逆側に向ける
- ○ 4. ゆったりと20秒くらいキープ。左右3回程度繰り返す
腰にある腰方形筋(ようほうけいきん)や、背中にある脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)群のストレッチです。
大きくねじる動きなので、体が硬い人は無理せず自分のできる範囲で行ってください。筋肉を伸ばすときには、焦りは禁物。ゆっくりとリラックスした雰囲気を作り、時間をかけて行うのがおすすめです。
意外と疲労を感じづらい太ももは優しく伸ばす
最後に余裕があったら、太ももの外側をストレッチしておきましょう。頻繁な立ち座りや、重い荷物の運搬で、太ももも疲れています。ただ、意外と疲労を感じにくい場所でもあります。
- ● 【やり方】
- ○ 1. あおむけになり、両膝を立てる
- ○ 2. 膝の外側に、反対側の足をひっかける
- ○ 3. そのままひっかけた方の足の方向へ膝を内側に倒していく
- ○ 4. ゆったりと20秒くらいキープ。左右3回程度繰り返す
太ももの外側にある大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)のストレッチです。普段刺激を受けづらい筋肉で、人によってはかなり硬くなっていることもあります。ピリっとした刺激を感じる場合は軽く伸ばすくらいでも大丈夫です。
引越しは意外と長期戦だからこそ、こまめな体のケアを
「引越し」と聞くと、ついつい当日の作業ばかりを考えてしまいがちです。しかし、荷造りから荷解きなども含めると1カ月くらいかかることも多いのではないでしょうか。
冒頭で僕も「引越しをしたばかり」と書きましたが、この原稿を仕上げているいま時点でまだ荷解きが終わっていません……。
新居での慣れない生活や、各種引越し手続きなど、疲れる日々は続いていきます。そう、引越しは意外と長期戦なのです。
ぜひ「体を疲れにくくするためのコツ」や「引越しの合間にやりやすいストレッチ」を覚えて、引越しの疲労を軽減してみてくださいね。
編集:はてな編集部
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