引っ越し先の害虫対策、ゴキブリ・ダニと絶縁したい! 内見・入居前後にやるべき害虫駆除のコツ12
公開日 2023年08月28日
引っ越したばかりの新居で害虫に悩まされたら、せっかくの新生活なのにがっかりしてしまいますよね。虫が出ないための物件選びや対策はどのようにすればいいのでしょうか。内見時は湿気やカビの有無や建物の立地などをチェックすることや、ゴキブリの退治法などを、害虫対策に詳しい住生活ジャーナリスト・藤原千秋さんに伺いました。
【目次】
■引っ越し時に、前の住居から連れて行ってしまう場合がある
■引っ越し先に害虫が潜んでいる場合も…。内見時のチェックポイント3つ
【内見のチェックポイント1】湿気やカビの有無
【内見のチェックポイント2】建物の立地、近所の家の玄関周り
【内見のチェックポイント3】上下・両隣の住民の暮らし方
■引っ越し当日や直前に、やっておくべきこと3つ
【やるべきこと1】家具・家電を運び込む前に、燻煙剤(くんえんざい)を焚く
【やるべきこと2】ゴキブリ食毒剤やダニ捕集マットを設置する
【やるべきこと3】ダニやゴキブリの侵入経路を断つ
■引越し後も、害虫対策をお忘れなく。特に注意が必要なスペースTOP3
TOP1:キッチン
TOP2:寝室
TOP3:リビング、子ども部屋
■もしも遭遇してしまったら。おすすめゴキブリ退治法2つ
【ゴキブリ退治の極意1】ゴキブリが去った方向を確認し、駆除剤などを設置
【ゴキブリ退治の極意2】その場で退治するときは「消毒用エタノールのスプレー」を用意

引っ越し時に、前の住居から連れて行ってしまう場合がある
賃貸住宅の場合、前の入居者が退去したあとは、ハウスクリーニングを行うもの。きちんと清掃されているにもかかわらず、引越したばかりの新居で害虫が出ることがあります。これはなぜなのでしょうか。
藤原さんは、「まずは前の住居から連れて行ってしまうケースが考えられます」と話します。
「引っ越し前の住まいが、もともと虫が出ず、あまり虫の害を気にすることのない生活をされていた場合は、それほど神経質にならず、引っ越し先でのチェックポイントに傾注すればいいと思います。
ただ、引越し前の住まいで、すでに虫に悩まされていた場合は、いかに次の家が新築でも再び虫の害に見舞われない保証はありません。家具・家電などの荷物にくっついていることに気づかず、連れて行ってしまうからです」(藤原さん)
まず、前の住居から連れて行ってしまいかねない害虫の代表格は、ダニ。
布団などの寝具をはじめ、カーペットやラグ、カーテンといった布もの全般(いわゆるインテリアファブリック)と一緒に持ち込んでしまうのだとか。
「引っ越しのタイミングで『布団丸洗い』など、ファブリッククリーニングを外注するのがおすすめです。布ものの汚染は洗って(高温で)乾かせば、概ね解消します。カビ対策にもなりますし、異臭も消えます。予算によっては布団ごと買い替えでもいいと思います。ダニやカビのいそうな手入れの悪いベッドマットレスなども、引っ越しを機に、クリーニングをするか、買い替えをするといいでしょう」
そして、もう一種の代表格はゴキブリ。
成虫を連れて行ってしまえば、すぐに次の家でも出没し、卵鞘(らんしょう)を持ち込んでしまった場合も、ほどなく出没するようになってしまうとか。
「ゴキブリの卵(卵鞘)は小豆(あずき)のような形をしています。小さい(例えば最も身近なクロゴキブリは長さ1cm、幅5mm程度)ため、見落としてしまう人も少なくありません。引っ越し荷物の段ボール箱(転勤族などに多い開かずの段ボールなどは特に要注意)、家具の裏面や、スキマ、あまり掃除をしていない冷蔵庫や電子レンジなどのキッチン家電などに潜んでいることが多く、潜んでいることに気づかず、引越し先に連れて行ってしまうことがあります。
『クロゴキブリ』は5~10月が産卵期で、およそ40日で卵は孵化します。梅雨~夏の引っ越しの際には、特に注意が必要です。ただし、卵鞘の状態だと越冬も可能なので、真冬でも気が抜けません」

引っ越し先に害虫が潜んでいる場合も…。内見時のチェックポイント3つ
前に住んでいた住居から連れて行ってしまうケースだけでなく、引越し先に害虫が潜んでいるケースもあると言います。
「例えば、ゴキブリやダニが潜んでいる可能性がある場所の代表格は以下です。
■ゴキブリ……玄関収納、キッチン収納周り、洗面所の洗濯機パン周辺、トイレの便器周りや換気扇など
■ダニ……敷き込んである床(カーペットや畳)、押し入れなどの収納部など
そのほか、引っ越し先の物件が築年数の経った木造アパートなどの場合は、壁やコンセントの隙間などを含め、あらゆる場所にあらゆる虫(ゴキブリ、ダニのほか、トコジラミ、チャタテムシ、シロアリなど)が潜んでいる可能性があります」
引っ越ししたあとに遭遇してしまう前、つまり内見時にチェックできるポイントはあるのでしょうか。
【内見のチェックポイント1】湿気やカビの有無
全てのケースではありませんが、虫の多くは乾燥環境よりも湿気った環境の方を好みます。虫の害が気になる場合は、内見時に湿気チェック、壁、床、天井、下水周りなどのカビの有無の確認は必須です。
難しいのは内装リフォームされてしまっているケース。新しい建材の匂いでカビ臭がマスクされてしまっている場合は嗅覚で感知しにくいです。その場合は、周辺環境を観察して判断する必要があります。
【内見のチェックポイント2】建物の立地、近所の家の玄関周り
「湿気が高くなりがちな環境かどうかをチェックすることも大事です。
例えば、
■建物周囲の道路が何となくいつも湿っぽい
■近隣の建物の外壁や塀に緑や黒のコケのようなものが生えている
■近所の家の玄関周りに蚊除けがぶら下がっている
■物理的に川や暗渠(あんきょ)が近い
■立地が坂の下の方
などの場合には、年間通じて湿気が高くなる可能性があります。つまりカビが生えやすく、ダニが出やすい環境だということです」
飲食店が同じ建物の1階や近隣にある場合、ゴキブリやアリ(洋菓子店など)が寄りやすい傾向があるとよく耳にしますが、実は逆にそちらに行ってしまい、自宅には出ないこともあるのだそう。
【内見のチェックポイント3】上下・両隣の住民の暮らし方
「集合住宅では、上下と両隣の住人の様子は気にした方がいいと思います。
掃除が行き届いていない、さらに言ってしまえば“ゴミ屋敷”になってしまっている場合、ゴキブリやコバエなどが発生しやすいほか、謎の液体がベランダ伝いに流れ込んできたり、洗濯物に異臭が移ったりと、害虫以外にもさまざまな副次的な被害が想定されます」

引っ越し当日や直前に、やっておくべきこと3つ
内見で害虫の出にくい条件をしっかりチェックし、引っ越し準備の荷造りでも害虫が付いていないことを確認しても、まだまだ気を抜いてはいけません。
引っ越し先に荷物を運び入れる前後でやっておくべきことは何でしょうか?
【やるべきこと1】家具・家電を運び込む前に、燻煙剤(くんえんざい)を焚く
「引越し先の物件でくん煙剤を多めに焚いておくことをおすすめします。家具を入れる前に燻煙しておくのがポイントです。その際、新居の造作収納などの扉を全部開いてから行いましょう。 燻煙後は、床など直接肌が触れる箇所は拭き掃除をしっかり行い、換気をしておければパーフェクトです。
ちなみに、今はスプレーすることで燻煙と同じような効果を手軽に得られる商品も出てきています」
【やるべきこと2】ゴキブリ食毒剤やダニ捕集マットを設置する
「家具・家電を運び入れたら、ゴキブリ食毒剤を家の内外に満遍なく設置するのがおすすめです。寝具や衣類収納部にダニ捕集マットを設置するのもいいでしょう」
【やるべきこと3】ダニやゴキブリの侵入経路を断つ
引越し後に害虫が侵入してしまう「経路」を断つことも大事。ダニやゴキブリの主な経路と、その対策は以下のとおり。
■自分の身体
「ダニは足の裏や靴下経由でも入り込みます。引っ越し先に行く前には、お風呂に入ったりして身を清め、きちんと洗濯済みの衣類を身に着けましょう」
■玄関
「ゴキブリは案外玄関から入ってくるもの。1~2mmほどのスキマさえあれば侵入できますから、人間が出入りするときや、玄関ドアの郵便受けも侵入経路になりえます。出入り時に注意することはもちろん、スキマをガムテープなどで防いだりすることも大事です」
■ベランダ
「ゴキブリには羽があるものの、長距離を飛翔することはありません。しかし、ベランダ伝いや近所から飛んでくることがあるのです。その時に、窓から侵入したり、ベランダに設置してあるエアコンのホースなどから侵入したりするケースがあります。網戸のほころびを補修したり、エアコンのホースには網をかけるなどして対策しましょう」
■排水管
「配管周辺に隙間が生じている古い共同住宅では、下水・排水管経由のルートで侵入するケースも。ネットなどをかけることで、排水管からゴキブリが出てこないようにしましょう」
■荷物、購入品(フリマアプリなど)
「引っ越し時の荷物同様、ほかの住宅や倉庫からやってくる荷物にも害虫が潜んでいる可能性があります。家に荷物が届いたら、すぐにチェックしましょう」

引越し後も、害虫対策をお忘れなく。特に注意が必要なスペースTOP3
新生活が始まっても、日常的に害虫が発生しないように心がけることが大事です。
「生ゴミのそばは虫が湧きやすいので処理に気をつける人は多いですが、意外と忘れがちなのがペットボトルやビールの缶。これらの臭いにもゴキブリは寄ってくるので、ゴミ袋の口はしっかり閉めることが大切です。また、ゴミの処理だけでなく、換気をして湿度を調整することも大切です。
狭いワンルームの部屋などの場合は、1日30分でもいいので時間を区切って家中の換気扇のスイッチを入れるのがオススメです。トイレやキッチン、お風呂などすべての換気扇を回した状態で、リビングの窓を5cmでいいので開けると、十分に換気することができます。毎日の換気と合わせて、室内の湿度を把握することも大切です。どの季節でも50〜60%の湿度を維持するのが理想的なので、湿度計を使って管理してみてくださいね」
また、特に注意が必要なスペースと、各スペースでの対策も教えてもらいました。
TOP1:キッチン
■予防策:
生ゴミをこまめに捨て、ためないようにする
■出てしまったときの対策:
・ゴキブリ……食毒剤、捕獲器を仕掛ける
・ハエなど……捕獲器を仕掛ける
TOP2:寝室
■予防策:
寝具類はカバーを定期的に洗濯し、本体の乾燥を心掛ける(干す、乾燥機にかける)
■出てしまったときの対策:
・ダニ……ダニ捕りマットを寝具に仕込む、洗えるものは全て洗う(クリーニングに出す)か、買い換える
・トコジラミ……業者に連絡して駆除する(自力での駆除は無理です)
TOP3:リビング、子ども部屋
■予防策:
ファブリックや寝具類はカバーを定期的に洗濯し、本体の乾燥を心がける(干す、乾燥機にかける)
■出てしまったときの対策:
・ダニ……ダニ捕りマットをソファ底などに仕込む、洗えるものは全て洗う(クリーニングに出す)か、買い換える
・トコジラミ……業者に連絡して駆除する(自力での駆除は無理です)
私たちを悩ませるおなじみの害虫のほか、「気候の変化やライフスタイルの変化によっても、注意すべき害虫も変わってきます」と藤原さんは言います。
特に今年は、エアコンの稼働時間が長くなったことで、いつも過ごしやすい温度が保たれ、ゴキブリが通年繁殖するようになっていたり(従来は梅雨~夏が活動期)、人の移動が増えたことで、人に付着して持ち込まれることが多いトコジラミの被害も増えているのだそう。トコジラミに刺されると、激しいかゆみが起こります。自力で駆除することも難しく、「業者を呼んで駆除してもらってください」とのこと。
「なんかいつもと違うな、変だな、と感づいたあと、“気のせい”と放置せず、状況を観察したり、早め早めに情報収集することをおすすめします」(藤原さん)

もしも遭遇してしまったら。おすすめゴキブリ退治法2つ
対策を万全にしていても、もし家の中で遭遇してしまったら、どのような対策をとればよいのでしょうか。虫の中でも特に悩まされている人が多いゴキブリの撃退法を伝授してもらいましょう。
【ゴキブリ退治の極意1】ゴキブリが去った方向を確認し、駆除剤などを設置
「ゴキブリは仲間と集う性質があります。すなわち、逃げた先に元凶となる巣があるのです。だいたいの位置を特定したら、『ごきぶりホイホイ』のようなトラップ式のものや、『コンバット』のような毒エサタイプの駆除剤などを、一緒に設置しておけばよいでしょう。ゴキブリが去った場所はもちろん、暗くて狭い人目につかないようなところにも置いておくといいでしょう」
【ゴキブリ退治の極意2】その場で退治するときは「消毒用エタノールのスプレー」を用意
「トラップや駆除剤を設置してゴキブリがつかまるのを待つのではなく、遭遇したその場で退治する場合には、『消毒用エタノールのスプレー』がオススメです。
市販の殺虫剤を利用する人も多いかと思いますが、一番周辺のモノに影響を及ぼさないのが消毒用エタノールのスプレー。掃除でも重宝されますが、ゴキブリにかけるとゴキブリの動きを止めることができます。そして、そのまま袋に入れて捨ててしまえばOKです」
引越したばかりのときは、いつも以上に家の中をきれいに保とうという意識が働いているもの。ゴミの処理や換気は基本的なことですが、ついおろそかにしてしまいがちです。引越したタイミングで、少しずつ気を付ける習慣をつけて、害虫に悩まされることのない快適な新居生活を送ってくださいね。
●取材協力:
藤原 千秋(ふじわら・ちあき)さん
大手住宅メーカー営業職を経て主に住まい、暮らしまわりの記事を専門に執筆し23年目。現在はライティングの傍ら監修、企画、広告、アドバイザリー等の業務に携わる。プライベートでは三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など著監修書、マスコミ出演多数。
■その他の参考サイト:
レスキューラボ
写真:PIXTA
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