人生の節目で6回の引越し。マンガ家・水谷さるころさん流“引越しスタイル”

人生の節目で6回の引越し。マンガ家・水谷さるころさん流“引越しスタイル”

自身の経験を赤裸々につづったコミックエッセイ『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)で、アラサー女性の結婚観に新たな風を吹き込んだ水谷さるころさん。
グラフィックデザイナー、イラストレーター、マンガ家とフリーランスで活動を始める際にひとり暮らしを始め、その後に迎えた結婚、離婚、そして事実婚という人生の節目にも必ず「引越し」が伴っていたそう。その結果、「20年で6回の引越しを経験した」という、いわば引越しのベテラン。そこで、さるころさんから見た“引越しのメリット”をお聞きしました。

引越しには同じ街の違う景色をみられる楽しさがある

――結婚前にも引越しのご経験はありますか?
水谷さるころさん(以下、さるころ):フリーランスになって半年ほどは、都内にある友人の事務所を間借りしていましたが、きちんと自分の仕事部屋を持ちたいと思って、事務所兼用のひとり暮らしを始めました。
仕事の利便性を考えて出版社の多いエリアを選んだのですが、デザイン事務所に伺うにも友だちと会うにも30分くらいかかってしまい、あまり便利ではなくて……。それで更新の折に引越したんです。

――引越しで苦労されたことは何でしたか?
さるころ:引越しそのものより、家を借りるほうが大変でした。まだ私の年齢が若かったのもあるし、大家さんも会社勤めの人がいいというかたが多くて苦労したのを覚えています。
でも、今住んでいるエリアは在宅で仕事をする人も多いみたいで比較的探しやすかったんです。それで気に入って、それからはずっとこの界隈で移動していますね。実家を離れて20年たちますが、その間で6回引越しています。

――20年で6回!? なかなかすごい回数ですね。
さるころ:そうですね(笑)。独身時代に2回、それから結婚、離婚、事実婚のタイミングで1回ずつ、出産して子どもができてからも1回引越しています。最初の引越し以外はすべて同じ街の中で移動していますが、引越すたびに間取りや景観が違うのが楽しいんですよ。例えば、この街で最初に住んだ家は高台の上で、自然はなかったし空き巣も多い地域だったのですが、離婚後に引越してきた家には庭が付いていて、梅や柿といった季節の移り変わりを感じられる穏やかな暮らしができたりとか。同じ街とは思えないような新たな魅力を感じられます。

“人とかかわりたい”思いが結婚につながった

――ひとり暮らしがきっかけで結婚したくなったそうですが、どんなプロセスがあったんですか?
さるころ:家にひとりでいると声を出さないんですよ。私の場合はとくに人に会わずこもってする仕事でしょう。仕事のやりとりもメールで済むし、振込もネットバンクで見られるので、画面の中だけで生活が完結してしまうんです。世界がすごく狭くなって、フィジカルが弱くなったり、たまに人に会うと異様にうれしくなるとか過度な浮き沈みがあったりして、「人とかかわりたい……結婚したい!」と、“結婚したい病”にかかった感じです(笑)。

――ひとり暮らしは独り言が増えるっていいますもんね。
さるころ:私は鏡に映った自分に話しかけていました(笑)。頭で考えていると堂々巡りになってしまうけれど、声に出すと「悩んでいる私」と「アドバイスしている私」が明確になって考えがまとまりやすかったんです。

――そこから脱するために結婚されたんですか?
さるころ:いえいえ(笑)。ペットを飼ったりもしましたが、人と確かな付き合いがしたくなって空手を始めたんです。空手に行けば声も出すし、人と話すし、体も動かすから元気になれる。フリーで仕事をしているとなくなりがちな、「どこかに所属している」という感覚も芽生えて、空手にハマりました。
気分が発散できると、頭の中のモヤモヤや、大きく感じていた問題がクリアに見えるようになって、すべてが上向くようになりました。まぁ、そこで最初の夫とも出会って結婚したんですけどね(笑)。

我慢ポイントを楽しむのも引越しの醍醐味

――結婚の際の物件選びで意識したことはありますか?
さるころ:ひとり暮らしのときは、「仕事はリビング、食事はキッチン」みたいに仕事場と生活スペースを分けたくて、1Kの部屋にこだわっていました。結婚してからは2LDKになったのですが、やっぱり一部屋を仕事場にしていましたね。ただ、事実婚の今のパートナーと最初に住んでいた2LDKでは、壁やドアがなくても、仕切りをするだけで気にならなかったので、完全に分けなくても大丈夫だったんだ……と、最近になって気づきました(笑)。

――最初のパートナーと離婚してからのお住まいは?
さるころ:独身時代と同じ1Kで、少し落ち込みましたね。「戻ってきちゃったなぁ」って。でも、結婚しないといけない! 早く結婚したい! みたいな気持ちはさっぱりなくなったので、独身時代の1K住まいのころより明らかに気持ちが軽かったですね。離婚する前と比べてもずっといい精神状態で、自分を見つめなおすのもいいなって思えました。

――それで、事実婚でまた2LDKに戻ったんですね。
さるころ:はい、事実婚を機に再び2LDKへ移りました。そのとき、同じエリアで、猫が飼えて、自分たちで払える家賃という条件で探したから、かなり苦労しましたね。最終的に、お風呂とトイレが一緒というところを我慢すれば条件に合う、少し古めの賃貸物件に決めました。でもその後、子どもができたことでやはり“お風呂とトイレが一緒”という造りがネックになって、3LDKに引越したんです。今度は同じ条件にプラスして、3LDKでファミリー向けの物件!と思ったので、これもなかなか見つからず……。今の家はリビングが狭いんですよ。しかも3階まで階段が急なうえ、自転車置き場もないから毎回担いで上っているので、常に生命の危機を感じています(笑)。何回引越しても、必ず何かしらの「我慢ポイント」があるんですよね。

――我慢ポイントをクリアする方法はあるのでしょうか?
さるころ:楽しんでるかもしれない(笑)。何かを我慢して住むことで、「次はこのポイントを満足できる家に住むぞ!」って頑張れる気がするんです。例えば今なら、エレベーターのあるマンションがいいとかね。この先引越しをしても、その家々の我慢ポイントを楽しんでいけたらいいですね。

状況に合わせて削ぎ落とせば、必要なものだけが残る

――荷造りの面で苦労されたことはありますか?
さるころ:仕事柄とにかく本が多いのですが、デザイナーという仕事だからか収納はうまいみたいで、本棚にも本がキッチリ詰まっているんですね。それでいつも見積もりを見誤られて段ボールが足りなくなってしまうんです。ときには「トラックに載らないかも!」なんてことも。デザイナーの本棚は、見た目の倍の量の本が入っているのかもしれませんよ(笑)。

――毎回荷造りや整理も大変ですもんね。
さるころ:そうなんです。しかも、離婚の引越しでは2LDKから1Kに戻ったので、荷物が部屋に入りきらないくらいいっぱいで……。引越し業者の方にも止められましたが、「全部入れてください!」と整理を決意。部屋中が段ボールで埋まり、一時はパズルゲームのような状態でした(笑)。一人で黙々と作業するのも得意なので「やってやる!」みたいな燃える気持ちもありましたけど、サイズダウンする引越しは結構こたえましたね……。

――思い出の品とかはどうされていますか?
さるころ:いちばん困ったのは「結婚式を挙げた神社でもらったお札」。あと、結婚式で使ったものや友人からのお祝いのカード、手紙もどうしようって悩みましたね。申し訳ない思いもあるし、元夫との離婚にネガティブな気持ちもないので、捨てるに捨てられなくて……。あと、マンガにしてやろうという職業病みたいなのがあって、婚姻届の書き損じと離婚届の予備も保管していました。単行本のカバー下に使ったのは実際の物なんです(笑)。どんな目に遭っても「ネタになるかも」とか「資料になるかも」ってわりと残しちゃいます。

――思い出の物を捨てるのは勇気がいりますよね。
さるころ:そうですね。結婚式の物は風呂敷に包んで一式取っていたんですけど、子どもが生まれてからの引越しでようやく処分しました。お札も初詣のときに奉納しました。やっと整理ができたかな、と思いますね。
本や資料もそうですが、引越しのときの状況にあわせて少しずつ削ぎ落として、必要なものだけを残していく感じかな。

引越しは人生の節目のたびに起こる出来事

――6回の引越しでさるころさんが感じた「引越しのメリット」は何でしたか?
さるころ:そのときの生活に一番合っている家を選んで、必要な荷物を残して、「今」を快適に過ごせることだと思います。例えば今なら、“子どもの保育園に徒歩で行けるところ”が絶対条件ですが、小学校に上がったらもっとエリアを広げてもいいし、今の街を出てもいいと思うかもしれない。そのときそのときで状況はどんどん変わっていくので、それに合わせて探す家も変わると思います。バージョンアップっていう感じかな?

――では、さるころさんにとっての引越しとは?
さるころ:引越し好きな人とか、気分転換で引越す人もいるけれど、私の場合はやっぱり「人生の節目」かな。仕事が軌道に乗ったことで最初のひとり暮らしが始まって、そこから人生の節目のたびに起こる出来事だと思っています。「理想の家に住みたい!」みたいな、もっとすてきな引越し観があってもいいと思いますけどね(笑)。

“今”に合わせた家を選ぶことで、快適な生活を送ってきたと語るさるころさん。それぞれの家で魅力を見つけるのはもちろん、苦労や我慢ポイントも楽しみに変えるスタイルはぜひ真似したいものですね。

取材協力:グラフィックデザイナー・イラストレーター・漫画家 水谷さるころ
掲載:2016年12月22日
写真:PIXTA

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