引越し直前でも間に合う、敷金をしっかり取り戻す方法
最終更新日 2018年12月26日
退去時のトラブルによく挙がるのが、敷金返還問題。入居時に部屋の傷や汚れを細かくチェックしておくのがベストですが、もし怠ってしまった場合、請求額をすべて支払う必要があるのでしょうか? 引越し前に少しでも返還額をおさえる手段について、賃貸住宅トラブルに詳しい司法書士の及川修平さんに話を聞きました。
敷金はなんのために支払うの?
「敷金とは、担保として大家さんに支払うもの。例えば家賃の支払いが滞ったり、不注意で部屋を破損したりしたにも関わらず賠償がされなかった場合、大家さんは敷金から費用を補填することができます」(及川さん 以下同)
さて、重要なのはここからです。及川さんによると、反対に家賃を延滞したり部屋を壊したりしていなければ、預けた敷金からお金を取られるということはないと言います。つまり原則として、“敷金は返ってくるお金”なのです。
「不注意で部屋を汚してしまったとしても、修繕費を全額負担する必要はありません。大事なのは、負担しなければいけないケースとそうではないケースを知っておくことです」
借主が負担すべき修繕の範囲を知っておこう
もし、クロスの1カ所に子どもが落書きをしてしまった場合。借主はその1面を張り替える費用のみ負担すればよく、物件全体のクロス張替え費用を負担する必要はありません。さらに長年住み続けている場合、状況は変わってくるといいます。
「『減価償却』といって、月日の経過に従って古くなったモノに対しては残価がなくなるのです。クロスは6年で残価がなくなるとされていますので、もし落書きによる汚れがあった場合でも、6年以上住んでいる場合は賠償の必要がないことになります」
このような知識さえあれば、敷金返還の際に大家さんと交渉ができます。でも現実問題、素人にはなかなか難しいのでは……?
「国土交通省が作成する『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』を参考にすることをオススメします。借主が負担しなければいけないケースや、どの範囲で負担すればよいかなどについて基準が示されています」
例えば、テレビや冷蔵庫の裏の黒ずみ(電気やけ)については、生活必需品の使用によるものであるため、借主は負担しなくていいと記されています。また、カーペットやフローリングの減価償却についても、明確に年数が示されています。さまざまなケースや箇所ごとに基準が示されているので、引越し前に気になるポイントを確認してみると良いでしょう。
提示された返還額に納得がいかない場合は?
退去日には、必ず不動産会社立ち会いのもと確認作業を行います。入居前からついていたり、普通の生活によってできたりした傷・汚れについては、きちんと意見を述べた上で写真に残しておきましょう。
「不動産会社から修繕費用の見積もりが出されたら、国交省のガイドラインや立ち会いの際に撮影した写真などを参考に、妥当な金額かどうか確認します。おかしな請求になっている場合は、ガイドラインを示しながら交渉に当たるといいでしょう」
それでも納得のいく説明がなかったり、交渉がまとまらなかったりした場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談するのも1つの手段といえそうです。
取材協力:及川修平司法書士
2002年、おいかわ司法書士事務所を開設。賃貸住宅に関するトラブル解決のほか、高齢者支援のための業務にも力を注ぐ。これまで法律専門職のサービスが利用できなかった少額の事件に関しても、積極的に支援をおこなっている。
リンク:おいかわ司法書士事務所 http://oikawa-office.com/
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