仏壇の引っ越し手順 供養(魂入れ・魂抜き)、お布施の相場、梱包方法
仏壇は他の家具と同様に扱っていいのか迷うもの。引っ越しにあたって仏壇も移動する場合には、引っ越しの前後で適切な供養をしておくのが理想です。ここでは、仏壇を移動させる際の全体の手順、梱包の仕方や供養にまつわるマナーについてご紹介します。
■目次
・仏壇の引っ越し、事前準備は1カ月ほど前からスタート
・仏壇の供養の依頼方法
・引越し前の供養「魂抜き」・「閉眼法要」・「精抜き」・「お性根抜き」
・引越し後の供養「魂入れ」・「開眼法要」・「精入れ」・「お性根入れ」
・お布施・お車代の表書き、封筒のマナー(魂入れ・魂抜き共通)
・運搬を依頼する業者の探し方
・仏壇の引越しに関するQ&A

仏壇の引っ越し、事前準備は1カ月ほど前からスタート
仏壇を移動させる前にすべきこと
ご先祖さまを祀った仏壇は神聖なもの。引っ越しでも取り扱いに注意が必要です。まずは、引越し前にするべきことをまとめました。
・寸法を測る
仏壇を移動させ、新居に置くためにサイズを測りましょう。玄関や部屋のドアの幅、エレベーター、階段など、仏壇を運ぶ際に通過する部分と照らし合わせて、問題ないか確認しておきます。
・仏具が全て置いてある状態で写真を撮る
仏壇には細々した仏具が飾られており、いったんしまい込んでしまうと何がどこにあったのか忘れがちです。引っ越し先に運んだら、すぐに元の状態に戻せるよう、旧居で写真を撮っておきましょう。
・新居での置き場所を決めておく
仏壇は思ったよりも意外と大きいものです。新居での配置場所を事前に決めて、仏壇が収まるスペースかどうか確認しておきましょう。
・動くもの、高価なものの梱包
仏具には壊れやすいものや高価なもの、替えのきかないものなどがあります。仏壇内の写真を撮ったら、中に飾ってある仏具やご本尊を取り出して、ひとつずつ丁寧に梱包しましょう。
・供養の準備
仏壇を移動する際には、供養の準備が必要です。動かす前には「魂抜き」の儀式をして、宿っている魂を抜いた状態にして運びます。新居では「魂入れ」の儀式をして、再びご先祖さまを祀る仏壇にします。「魂入れ」「魂抜き」は、引っ越しの1カ月前を目安に、お寺の僧侶にお願いするようにしましょう。詳しくは後述します。
仏壇の引っ越しの流れ・スケジュール
お寺に供養を依頼するのは、引越し1カ月前が目安。引っ越しの流れをつかんで、無理のないスケジュールを組みましょう。
引っ越し1カ月前 | 僧侶に魂抜き・魂入れの依頼をする。 |
引っ越し1週間前くらいまでに | 魂抜きの供養をする。 |
引っ越し当日(旧居) | 仏壇も家具と同様に運搬。ほかの荷物を全て出して、仏壇は最後に運び出すのが理想。 |
引っ越し後早めに | 新居についたら、まっさきに仏壇を搬入して、その後で他の荷物を入れるのが理想。魂入れまでに開梱して、仏壇を元どおりに整えておく。 |
引越し後~数日のうちに | 魂入れの供養をする。 |

仏壇の供養の依頼方法
魂抜きとは、仏壇を特別なものではなく普通の箱に戻す作業のこと。そうすることで、引越しなどの移動が可能になります。
魂抜き・魂入れは、基本的には菩提寺(ぼだいじ)の僧侶に依頼します。菩提寺とは、先祖代々が眠るお墓があるお寺のことをいいます。 菩提寺の「菩提」とは悟り、目覚めを意味する梵語で、発音に漢字を当てたものが「菩提」です。
家族や親類等といった身近な人々が、お釈迦さまのように悟られますようにという思いを込めて建てられたお寺が、その由来となります。 菩提寺が家の近くにない場合も、一度、相談してみると良いでしょう。
宗派によって供養の呼び方は異なる
「魂抜き」「魂入れ」の呼び方や作法は、宗派や地方によって異なります。
「魂抜き」は「閉眼供養(へいげんくよう)」「お性根抜き」、「魂入れ」は「開眼供養(かいげんくよう)」「お性根入れ」ともいいます。
浄土真宗では仏壇に魂が入っているとは考えないので、魂入れ・魂抜きは行わず、「遷座法要(せんざほうよう)」「遷仏法要(せんぶつほうよう)」を行います。 いずれにしても、他の家具と仏壇は別物と捉え、儀式を行う必要があります。

引越し前の供養「魂抜き」・「閉眼法要」・「精抜き」・「お性根抜き」
魂抜きをする日は引越し当日でも構いませんが、慌ただしい最中に供養を行うのはあまり現実的ではありません。別日に設定し、しっかりと準備を整えましょう。
魂抜きと魂入れはセットで打ち合わせしておく
魂抜きも魂入れも、基本的には菩提寺の僧侶にお願いすることになります。しかし、旧居と新居が遠く離れている場合には、同じ僧侶にお願いするのは難しいですから、新居では同じ宗派の寺の僧侶にお願いしてみましょう。
菩提寺に尋ねれば、近隣の同じ宗派の寺を紹介してもらえることもあるので、気軽に相談してみることをおすすめします。
魂抜きの際にこちらが用意するもの、お布施の相場
一般的には下記を準備します。
宗派などによって異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
用意しておくもの
- • 数珠
- • 生花
- • ろうそく
- • 線香
- • お布施・お車代
魂抜きでのお布施・お車代の相場と渡し方
魂抜きの儀式の際、僧侶に渡すお布施は、地域差こそありますが一般的には1万~3万円が相場です。 そして、ここで避けるべき金額は『死』を連想する4万円です。
どのくらい包めば良いのか迷ったら、寺院に直接問い合わせをしても構いません。最近では、菩提寺によっては法要に必要なお布施の額を提示しているところも増えているので、その際は指定の金額を納めるようにしましょう。
僧侶に自宅まで来てもらうお車代は5000円程度が一般的です。お布施とお車代は別々の封筒で渡します。ただし、送迎の車を手配したり、ご遺族の方が車で送迎したりした場合にはお車代は不要です。

引越し後の供養「魂入れ」・「開眼法要」・「精入れ」・「お性根入れ」
魂入れとは、魂抜きによって普通の箱になった仏壇に再び魂を入れて、手を合わせて拝む対象へと変える作業のこと。 ちなみに、葬儀の後、49日法要までには本位牌を用意しますが、この場合も本位牌に魂入れを行います。
魂入れの際にこちらで用意するもの、お布施の相場
魂入れの際には下記を準備します。
宗派などによって異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
用意しておくもの
- • 数珠
- • 生花
- • 赤いろうそく
- • 線香
- • おもち
- • 御膳
- • 果物
- • お菓子
- • お布施・お車代
生花を用意するときは、生花店で仏壇の魂入れを行うことを伝え、ふさわしい花を選んでアレンジしてもらいます。故人の好きな花を入れるのもいいでしょう。
赤いろうそくを使用する理由は、魂入れを行うのは故人との接点が生まれることを「めでたいと思う」ところから来ているといわれています。
閉眼供養と同様、用意する物は、地域や宗派によって違いがあるため、菩提寺に確認しておきましょう。
魂入れでのお布施・お車代の相場と渡し方
菩提寺に魂入れを依頼する場合のお布施は、1万~3万円が相場です。魂抜きのときと同様に、金額に迷ったら寺院に直接問い合わせしても構いません。
お車代も魂抜きと同じく5000円程度が一般的です。お布施とお車代は別々の封筒で渡します。ただし、送迎の車を手配したり、ご遺族の方が車で送迎したりした場合にはお車代は不要です。

お布施・お車代の表書き、封筒のマナー(魂入れ・魂抜き共通)
白い無地(郵便番号欄のないもの)の封筒に入れ、表書きは黒いペンもしくは筆ペンで「御布施」「御車代」と記入します。 お布施とお車代は別々の封筒で渡すのがマナーです。すでに「御布施」「御車代」と表書きがプリントしてある封筒も市販されています。
裏側には自分の名前・住所、金額を記入します。金額は「一万円、三万円」といった漢数字ではなく、「壱萬圓、参萬圓」といった大字を用います。
中袋がある封筒を使用する場合には、中袋の裏側に名前・住所、金額を記入するようにしましょう。

運搬を依頼する業者の探し方
魂抜きを行ったとしても、移動中は仏壇を丁寧に扱わなければなりません。そのため、仏壇の運搬をお願いする業者探しも慎重になるものです。 仏壇を運搬してくれる業者の探し方をご紹介します。
仏壇の移動は「引っ越し業者」「専門業者」どちらでもOK
仏壇の引っ越しは、引越し業者のほか、仏壇店・仏壇専門運送業者に依頼できます。仏壇の内部にはさまざまなものが収納されているので、仏壇の仕組みを分かっている仏壇店だと安心でしょう。
運搬方法やサービス内容、金額、スケジュールなどの条件を比較して、自分に合ったところに依頼しましょう。
仏壇の移動だけなら引越し業者で対応可能
引越し業者は現金や証券などの貴重品や、遺体・遺灰、動植物などは原則として運びませんが、仏壇や神棚は運んでくれます。
他の荷物と一緒に仏壇を運んでもらう場合、魂抜きをしていないものでも引っ越し業者は運んでくれるのでしょうか。実際に引越し業者に聞いてみました。
「そういうこととは関係なく、仏壇も神棚も一般の家具と同じようにお運びします」(アート引越センター・小山まなみさん、以下同じ)
仏壇の梱包を引っ越し業者に依頼することも可能です。
「仏壇や神棚はこわれものとして丁寧に梱包させていただきます。ただ中に御位牌や仏像などが入ったままの状態ですとお引き受けできませんので、これらはお客様の手で梱包していただいています」
位牌や仏像、その他の仏具は自前で梱包し、引越し荷物とは別に自分の手で新居まで運ぶ必要があるようです。

仏壇の引越しに関するQ&A
仏壇を買い替える場合の処分はどうする?
仏壇の老朽化のために廃棄することになったり、引っ越し先でサイズ的に合わなくなってしまったりしたときは、仏壇を処分して買い替えなければなりません。魂抜きをした後には、以下のような方法で処分します。
• 仏具店に処分してもらう
• 仏壇専門の引っ越し業者に処分してもらう
• 菩提寺に引き取ってもらう
• 粗大ごみとして処分する
仏具店や仏壇専門の引っ越し業者に処分を依頼したときには、仏具一式に2000円程度の処分費用が、仏壇には数万円程度の処分費用がかかります。
また、移動距離が遠くなるとその分費用もかさみます。自治体のごみ収集センターで粗大ごみとして処分する場合は、サイズによって異なりますが400円~2800円程度で処分が可能です。
引越しや儀式の日取り、六曜は考慮すべき?
冠婚葬祭の日取り決めに六曜が参考にされるのと同様に、仏壇の処分の際にも六曜を用いることがあります。
親戚内で六曜を全く気にしない人ばかりであれば問題はありませんが、もし、お一人でも六曜を気にする人がいる場合は気遣いが必要です。
仏壇の処分に関しても、大安が良き日で、仏滅が避けたほうが良い日といわれています。仏壇を処分するときは、あらかじめチェックしておきましょう。
仏壇の供養にはお布施やお車代など、金銭面での負担があります。また、引越しが急に決まって間に合わない場合もあるでしょう。ここでは供養の方法をご紹介しましたが、現代ではそこまでしっかりと行わないご家庭も増えているようです。しきたりも大切ですが、敬う心があるかどうかが最も重要です。作法があると知ったうえで、どうするのか検討してみてくださいね。
画像:PIXTA
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