引っ越しでかかる初期費用はどれくらい? 少しでも安くするコツは?
最終更新日 2020年08月17日
平成30年(2018年)ごろから引っ越し価格の高騰や、引っ越し業者の予約がとれないなどの理由で、思うように引っ越しができないという、いわゆる「引っ越し難民」が社会問題化しています。希望通りに引っ越しをしようとしたところ「予想以上にお金がかかってしまった!」という人も多いのでは? そもそも、引っ越しの初期費用は、どれくらい見込んでおけば良いのでしょう? 引っ越しを安く済ませるコツはあるのでしょうか。おトクに引っ越しを成功させる方法についてご紹介します。
■目次
・引っ越しに伴う初期費用は、大きく分けて3種類
・初期費用を少しでも抑えるコツ4つ

引っ越しに伴う初期費用は、大きく分けて3種類
引っ越しに伴う初期費用は、次のように、大きく3つに分類されます。
- 1.不動産業者に支払う初期費用(敷金、礼金、仲介手数料など)
- 2.引っ越しにかかる費用(引っ越し業者の作業代、自力で行う場合はレンタカー代など)
- 3.家具や家電費用(家具や家電を購入する場合はその費用)
これらのうち、一般的に、最も大きな金額となるのが「1.不動産業者に支払う初期費用」です。この初期費用とは、一般に、敷金や礼金、仲介手数料など、不動産業者へまとめて払うお金のことを指します。
「初期費用をどれだけ低く抑えるか」が、引っ越しを少しでもリーズナブルに済ませる秘訣となります。
それでは、いったいどのようにすれば初期費用を抑えることができるのでしょうか。
敷金や礼金などの用語について正しく理解するとともに、それを抑えるコツを見ていきましょう。
引っ越し初期費用その1「敷金」
敷金とは、簡単にいえば、大家さんに支払う「保証金」のようなもの。
もし、借り主が家賃を滞納した場合は、敷金がその滞納分に充てられますし、また、退去時に修繕が発生した場合は、敷金が修繕費用に充てられます。
敷金の金額は、通常、「家賃の○カ月分」として計算され、全国的には家賃の1カ月分くらいが目安です。
関西エリアでは、昔の風習のなごりで、敷金ではなく「保証金」を大家さんに支払うこともあるようですが、その意味合いは敷金と同じです。
基本的に、敷金は退去する際、原状回復にかかった金額が差し引かれて借り主に戻ってきます。
これまで、日本の民法では敷金についてはっきりした定義がありませんでした。
しかし平成29年(2017年)5月26日、「民法の一部を改正する法律案」が可決成立し、交付された法律の中で、敷金の定義や敷金の返還について、次のように明文化されました。
第四款 敷金
第六百二十二条の二 賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
2 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。
出典:平成二十九年法律第四十四号 民法の一部を改正する法律案|電子政府の総合窓口 総務省行政管理局
簡単にいうと、「敷金」とは借主が支払うべき金銭を負担する目的で、あらかじめ貸主に預けておくお金のことであり、借主が部屋を適法に引き渡したとき、貸主(大家)は敷金を返還しなければならない、ということです。
●敷金は「保証金」という名前で呼ばれることも
敷金は、地域によっては「保証金」という名前で呼ばれることもあります。
保証金は賃貸契約書の内容に準ずるため、不動産会社によってばらつきがあります。通常、家賃の1カ月分程度を設定しているところが多いのですが、ペットの飼育が可能な賃貸物件の場合は、3カ月分程度必要なことも。
保証金の詳細は、賃貸の契約をする前に管理会社や大家さんに確認しましょう。
引っ越し初期費用その2「礼金」
文字通り、部屋を所有する大家さんに対して、「部屋を貸してくれてありがとう」というお礼の意味を込めて支払うお金のこと。敷金と違って、退去時に返金されることはありません。
最近では礼金なしの物件も増えています。礼金が必要な場合は地域によって差はありますが、家賃1カ月分が目安とされています。
引っ越し初期費用その3「仲介手数料」
物件の案内や契約手続きを行った不動産業者に支払うお金のこと。
法律で上限は家賃の1カ月分+消費税と決められており、通常は、家賃0.5~1カ月分+消費税が目安とされています。
「その他の費用」も忘れずに
管理費や共益費、鍵交換費用、火災保険料などがその一例。また、害虫駆除代や消臭費用などが発生するケースもあります。こちらも管理会社や大家さんによってまちまちなので、事前確認をしておきましょう。
また、管理費や共益費は毎月かかり、火災保険料は物件の契約更新ごとに支払うのが一般的ですが、鍵交換費用は当然入居する月に一回支払って終わりです。このように、繰り返し支払うものとそうでないものがあるので、不慣れで判断がつかない場合は細かく教えてもらいましょう。
このように、ある程度まとまったお金が必要になる初期費用ですが、いったいどうすれば少しでも低く抑えることができるのでしょうか。
そのポイントを挙げていきます。

初期費用を少しでも抑えるコツ4つ
コツその1:敷金・礼金を抑えた物件を探す
物件によっては、敷金や礼金がゼロのものもありますし、ゼロではなくても、「敷金1カ月、礼金ゼロ」など、初期費用を抑えているところもあります。そうした物件を探せば、大幅に初期費用がダウンします。
最近は敷金・礼金ナシという「ゼロゼロ物件」が増えてきました。
特に敷金は、借り主が退去する際、修繕費などを差し引いて残りのお金を返還しなければならないため、大家さんが「空いている物件を早く埋めたい」と考えている場合、敷金ゼロにすることも多いようです。
しかし、なかには「礼金ゼロ」にしながらも、その分、家賃を高めに設定している物件もありますので注意が必要です。地域の相場と見比べながら、じっくり金額を検討しましょう。
コツその2:フリーレントの賃貸物件を狙う
フリーレント物件とは、入居後に一定期間、賃料が免除になる物件のこと。
多くの場合、1〜2カ月ほどの期間がフリーレントになっていて、なかには3カ月や半年など、賃料が免除になる物件もあります。
確かにフリーレント物件を選べば初期費用は安く抑えられますが、おトクな分、適用条件が定められていることが多く、なかには、「契約の翌月分はフリーレントで住めるが、初期費用として翌々月分の前家賃を支払う」「日割り家賃分だけフリーレント」というケースも。
また、「契約1年未満で引っ越した場合は、違約金を請求する」といった違約金を設定しているケースや、家賃が相場よりやや高めということもあります。
「フリーレント」と聞いて飛びつくのではなく、しっかり条件を確認しておくことが必要です。
コツその3:引っ越しの閑散期を狙う
1年のうち、不動産業界が最も忙しくなるのが、2~3月。
卒業、入学、就職などイベントが重なりますし、転勤の辞令がおりるのもこのころ。この時期は“売り手市場”になりますので、家賃は総じて高めに推移し、その結果、初期費用を安く抑えることは難しくなります。
反対に、繁忙期が落ち着いた4月から8月上旬までの間は引っ越しの需要が減り、不動産業界にとっては閑散期。
そのため、“買い手市場”となって、家賃が下がったり、敷金や礼金の金額が低くなったりします。
初期費用を抑えたいなら、この時期に物件探しをすると良いでしょう。
コツその4:仲介手数料の安い不動産業者を探す
法律では仲介手数料の上限は「家賃の1カ月分+消費税」と決まっています。しかし、下限は定められていません。
実際、不動産業者によっては「仲介手数料無料」や「家賃半月分」とうたっているところもありますから、不動産業者によってその金額はさまざまです。
無理な値段交渉はおすすめできませんが、もし、初期費用を少しでも安く抑えたい場合は、不動産業者に値段を相談してみることも可能です。
物件を選ぶときには部屋の大きさや築年数などを確認するのももちろん大事ですが、敷金や礼金、保証金など、初期費用に関する数字も入念にチェック。初期費用を少しでも安くするテクニックを活用して、おトクな引っ越しを実現しましょう!
画像:PIXTA
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