収納のプロが伝授!引っ越し時の片付け・荷造り・収納の基本
引っ越し先を選ぶときの条件として収納力の高さを重視する人も多いのではないでしょうか。引っ越し先の部屋が狭かったとしても、引っ越し先に持っていく荷物を前もってきちんと整理していれば収納に困らないはず。
今回はこれまで2000人以上に片付けをレクチャーしてきたという収納スタイリストの吉川永里子さんに、引っ越し前の片付け&荷造りの基本と、新居でのスペース別の収納術をうかがいました。
■目次
・引っ越し前の部屋の片付け方&荷造りの基本
・荷造りのときにあると便利なグッズ
・梱包の仕方の基本
・引っ越し後の片付け方&開梱の基本
・引っ越しまでに片付けが終わらなかったらどうなる?

引っ越し前の部屋の片付け方&荷造りの基本
荷物の片付けはまずスケジュールを組んで、次に荷物を使う頻度により3つに分類し、さらに部屋やグループごとに梱包していきます。不要なものは持っていかずにできるだけ処分しましょう。
片付け開始から引っ越すまでのスケジュール
片付け開始の時期は、引っ越しする日から逆算してどれくらいでできるのかを考えるのがポイント。荷物の分類によってそれぞれ荷造りのタイミングが違うので、下記のスケジュール例を参考にしてください。
引っ越し日を決める
↓
引っ越し1カ月前:しばらく使わないものを梱包
↓
引っ越し1週間前:引っ越して1週間程度で使うものを梱包
↓
引っ越し前日:引っ越してすぐに使うものを梱包
↓
引っ越し当日
荷物の3つの分類法
荷物は使う頻度によって3つに分類して順番に梱包していきます。すぐに使う予定がないものは、なるべく早めに梱包しておくといいでしょう。
・引っ越し後もしばらく使わないもの
必要なものだが使用頻度が少なく、引っ越しを決めた直後から詰めておけるもの。オフシーズンの衣類・靴、写真や手紙といった思い出の品など。
荷物全体に占める割合:30%
荷造りをする時期の目安:引っ越しの1カ月前
・引っ越して1週間程度で使うもの
引っ越しの前後1週間ほどは使う予定がないもの。引っ越しの翌日以降に着る衣類、あまり使わない調理器具、本・DVDなど。
荷物全体に占める割合:60%
荷造りをする時期:引っ越しの1週間前
・すぐに使うもの
引っ越して新居ですぐに使うもの。当日や翌日に着る衣類、洗面道具、最低限の食器、カーテンなど。
荷物全体に占める割合:10%
荷造りをする時期:引っ越しの前日
ここでのまとめを収納スタイリストの吉川さんにうかがいました。
「ここでポイントになるのは、しばらく使わない荷物です。普段から使っている荷物と比べて、“いらないもの=新居に持って行かないもの”が入っている可能性が高いのです。まずはこのしばらく使わない荷物を、必要なものと不要なものに選別しましょう。整理するときの基準はたった1つ。“今使っているか/使っていないか“です」
今まさに、以前の家から持ってきた“開かずのダンボール箱”が家にある! という人は、いっそ開けずに箱ごと処分してしまっても良いかもしれません。今の家で一度も使っていないものは、新居でも使わないものなので、持っていく必要はないそうです。
粗大ゴミの処分についてはこちら
荷物を部屋やグループごとに分けて梱包する
「使う頻度での選別が済んだら、置く場所で分けて梱包していきます。リビングに置くのかキッチンに置くのかを決めて、それぞれダンボール箱に詰め、どこに置くものなのかを箱に書いておく。そうすれば引っ越し業者の人が新居に運ぶときに、その場所に置いておいてくれます。だから、引っ越す前の内見の時点で、『ここにはこれを置こう』というシミュレーションをしておくのがベストですね」
とのことです。リビング、キッチン、クローゼット、テレビ、寝具、浴室、洗面所、トイレなどのグループに分けて梱包していきましょう。

荷造りのときにあると便利なグッズ
引っ越しのときに使う段ボールは引っ越し業者が用意してくれることが多いですが、他にはどんなものがあると便利なのかをリストにしました。参考にしてみてください。
ガムテープや養生テープ | ダンボールを梱包するときに必要で、中身によって色を使い分けるのもいい。養生テープは強度が落ちるため、電源コードを止める、固定するときなどに使う |
新聞紙 | 割れ物を包んだり、ダンボールの隙間を埋める緩衝材として使える |
梱包紐 | 解体した家具をまとめるのに使う |
軍手 | 手の怪我防止に必要。滑り止め付きタイプだとラクに運べる |
古いシーツやバスタオル | 家具や家電に巻けば傷つくのを防げる |
ノック式サインペン | ふたを開閉する手間やキャップをなくさずにすむ |
ハサミやカッター | 紐を切ったりダンボールを開けたりするのに使う |
工具セット | 家具の解体、組み立てに必要 |
レジ袋やビニール袋 | 液体が入った洗剤、調味料などの液漏れ防止になる |
衣装ケース | 衣装ケースは荷物を入れたまま開口部を養生テープで留める |

梱包の仕方の基本
持っていくものが決まったら梱包作業に入ります。引っ越しの梱包にはコツがあるので、基本をしっかりおさえておきましょう。
失敗しないためのダンボールの梱包のやり方
・梱包資材を用意する
梱包に使うダンボールはどんなダンボールでも構いません。ただ、古いダンボールだと耐久性の問題があり、またサイズがバラバラのダンボールだと、運ぶにもトラックに積み込むにも手間になるため、できるだけ引っ越し業者からもらうようにしましょう。
段ボールやガムテープは引っ越し業者が用意してくれるところがほとんどですが、先ほど紹介した便利なグッズをそろえておくといいですね。
・ダンボールの組み方
引っ越し業者が用意してくれるダンボールには、引っ越し業者名、内容物など印字されているものがほとんど。文字が正しく読める状態で荷物を入れ、そのまま運べば中身がぐちゃぐちゃになりにくいです。天地に注意して組み立て、底にガムテープを貼るときは、底抜け防止のために必ず十字にします。
・小さい段ボールには重いもの、大きい段ボールには軽いもの
段ボールは1人で持てる重さにするのが基本です。本や雑誌のように重いものは小さい段ボールに詰めましょう。
・下に重いものを、上には軽いものを詰める
重いものを上に詰めてしまうと、トラックの揺れや運送中に下の軽いものが潰れたり、壊れたりするおそれがあるため、段ボールには重いものから先に詰めて、最後に軽いものを詰めます。
・段ボール内の隙間はなくす
段ボール内に隙間があると、荷物同士がぶつかりあって破損の原因になるため、隙間があれば新聞紙やタオルなどの緩衝材を詰めて中身が動かないようにします。
・段ボールの中身が分かるようにする
荷物を段ボールに詰めたら、内容物をマーカーで書くといいでしょう。引っ越し業者が用意する段ボールには「ワレモノ」「品名」など、丸で囲めばいいように印字されているものがほとんどです。
特に注意して運んでほしいものには、赤色のガムテープを使って注意喚起をするいいでしょう。
・梱包したら積み上げておく
梱包したら使っていない部屋やクローゼット、押入れなど生活の邪魔にならない場所に積み上げていきます。そのときに重い段ボールは下に、軽い段ボールは上に積み上げるようにしないと、重さで崩れるおそれがあるので注意。
梱包についてのさらに詳しい情報はこちらの記事で紹介しています。
失敗しない梱包の7つの基礎知識
いざ引っ越しとなるとどの程度段ボールを用意したらいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。引っ越し人数別の段ボール個数や、足りなくなった場合の対処法をこちらの記事で紹介しています。
引越しで必要になる量は? 平均的な段ボールの個数と少なくするコツ
荷造りで成功する6カ条
荷造りを成功するにはコツやテクニックがあります。今まで紹介してきたことも踏まえ、以下6つのポイントに気をつけましょう。
1. 荷造りは使用頻度の低いものから始めるべし
すぐに使うものは、前日まで梱包しないようにしましょう。
2. 引っ越し1カ月前には処分するものを決めるべし
粗大ゴミの処分は時間も手間もかかるため早めに不要なものを洗い出しましょう!
3.荷造りはグループ分けすべし
部屋やグループごとで分けて梱包すると、開梱のときにもラクです!
4. 段ボールに入らないものもきちんとまとめるべし
布団、物干し竿、観葉植物などは段ボールを2個連結させて入れる、段ボールのふたを閉じないという工夫も。
5. 段ボールの山を見て本当に必要なのか考えるべし
必要だと思って梱包したものの、こんなにたくさんのものが必要なのか考えてみましょう。
6. 荷造りの最中はあれこれ考えないようにするべし
荷造りをしていると懐かしいものが出てきて、つい手が止まってしまいがちですが荷造りに徹しましょう!

引っ越し後の片付け方&開梱の基本
開梱の方法を収納スタイリストが解説!
さて、無事に引っ越しが完了し、すべての荷物が新居へ運び込まれました。まず、なにをするのか収納スタイリストの吉川さんにうかがいました。
「引っ越し当日、すべての荷物を運び終えたら、まずはすぐに使うものが入った段ボールを開梱します。それさえ開けておけばとりあえずの生活はできるので、最初に開けておきましょう。
続いて開梱するのが、キッチンやクローゼットなど、置く場所がある程度決まっているもの。洋服や食器類などを収納していきます。
大切なのは、まず造り付けの収納スペースに荷物がどれだけ入るか試してみること。もし物が入りきらない場合はある程度処分する必要もありますし、追加で収納家具を買う必要もあるかもしれません」
引越し先に元々ある収納スペースのキャパシティを知ってから、追加の収納家具を検討するようにすれば、出費も抑えられそうですね。他にも荷物整理のコツはあるのでしょうか?
「大事なのは、とにかく開梱すること。段ボール箱に入れて積み重ねたままにしておくと、下のほうにある箱は開けるのがおっくうになって“開かずの段ボール箱”になってしまいがちです。
そうならないためのコツは、キッチンやクローゼットに置くものを最低限開梱したら、積んである段ボール箱は重ねずに、床に並べて全部ふたを開けておくのです。
そうすれば中に何があるかすぐに分かりますし、開梱ペースも上がるはず。その状態で開梱を続けて、1週間以内に箱がすべてなくなるのが理想です」
段ボール箱はすべて空になったけれど収納スペースに入りきらない……という場合は、収納家具の買い足しをするといいとのこと。ただし、すぐには買い足さず、しばらく生活してみたうえで検討するのがポイントだそうです。
引っ越し後はつい気分が高揚して、あれもこれも欲しくなってしまいますが、できれば1カ月ほど新居で暮らしてみるのがいいそう。
そのうえで、「ここに棚があったほうが便利だな」「ここに置きたいものがあるけどスペースがないな」と、必要なものを冷静に判断できるようになってから追加購入するようにしましょう。
キッチン収納のコツ
食器や食材など種類が多いキッチンでの収納のコツは、“ワンアクションで物を出し入れできるようにすること”。
そのためにはキッチンを3つのコーナー別に考える必要があります。フライパンや油など「火」のコーナー、水まわりで使う洗剤やザルなど「水」のコーナー、そして「食材」のコーナーです。
コーナー別に収納することで作業効率はグンとアップ。自炊がはかどれば食費の節約にもなります。
<ポイント>
・フライパンと油、まな板と包丁など、同じタイミングで使うものはまとめて置いておく。
・シンク下にはまな板や包丁など水まわりで使うものの他に、鍋やホットプレートなど重いものを。
・シンクの上のつり戸棚にはラップやアルミホイル、レトルト食品など軽いものを。
シンクやコンロの下は、コの字ラックを置いて収納スペースを上下に分けるのがポイント。下の段に鍋、上の段に食器、という風に配置すれば、高さのあるスペースも無駄なく活用できます。
洗面所収納のコツ
洗面所のそばに洗濯機置き場がある物件も多いため、洗面・入浴アイテムだけでなく、洗濯や掃除グッズなど、さまざまなジャンルのものが集中する場所です。
2人以上で使用する場合は、さらにゴチャゴチャしてしまいがちなので、それぞれの収納スペースを決め、各自で管理するようにすればイライラも防げるはず。
衛生面も気になるので、出しっぱなしも控えたいところ。きちんと整理収納して、洗面所ではハンドソープが1つ出ているだけ、という状態が理想的。
<ポイント>
・洗面台下のスペースはキッチン同様、コの字ラックがおすすめ。排水管の左右にラックを置けば、洗濯洗剤や掃除用具、シャンプーのストックなどもたっぷり収納できる。
・タオルの収納は「輪(折り畳んだ部分)」が見えるように立てて。取り出しやすく見た目もきれい。
・ドライヤーは洗面台の上に突っ張り棒を渡してS字フックを掛けて。ドライヤーのリングを引っ掛ける方法がおすすめ。
・歯ブラシを洗面台の上に直に置くのは不衛生。陶器やガラス製など、おしゃれな歯ブラシスタンドに立てて置いておけば見栄えも良くなる。
クローゼット収納のコツ
主に洋服を収納するスペースとして活用するクローゼット。洋服は何でもかんでもハンガーにかけてしまいがちですが、すぐにスペースが埋まってしまい出し入れしづらくなってしまいます。
洋服は“かける”より“畳む”ほうが収納力はアップするので、コートやシワになりやすいシャツなどはかけて収納、伸びやすいニットやTシャツなどは畳んで収納、といったように、服に合った収納の仕方を考えることでスペースを有効活用できます。
<ポイント>
・アイテムごとに並べて収納。コート、ジャケット、シャツなどまとめることで服が選びやすくなるのはもちろん、自然と着丈がそろうので下の空きスペースも使いやすくなる。
・スーツのズボンは膝の部分で半分に折ってハンガーにかける。
・シワが気にならないジーンズなどは畳んで衣装ケースに収納。
・スーツなどのスカートはウエスト部分についている紐をハンガーにかける。
・ポリエステルやレーヨンなど柔らかい素材のスカートはふんわり畳んで収納ケースへ。
・ベルトはS字フックにかける。

引越しまでに片付けが終わらなかったらどうなる?
引越しのプランにもよりますが、自分で片付けて梱包する場合は、引っ越しまでにはすべて完了しておく必要があります。もし、間に合わない場合は、追加料金を支払って引っ越し業者に梱包を手伝ってもらわないといけません。
そうならないためにも、スケジュールを立ててプラン通りに進めることをオススメします。忙しくて荷造りや梱包をする時間がないというのであれば、引越し業者各社ですべておまかせする荷造り・梱包サービスが用意されているので、有料にはなるもののお願いするのもいいでしょう。
引っ越しはいらないものを整理して新しい場所へ移るという、ひとつのターニングポイントでもあります。せっかくの新居なのに、いらないものがたくさんあったりゴチャゴチャして片付かなかったりすれば、気持ちのいい新生活はスタートできません。荷造りと収納のコツをきちんと押さえて、いらないものはこの際だから処分して、快適に過ごせる部屋づくりを目指しましょう!
●取材協力
収納スタイリスト・整理収納アドバイザー1級認定講師 吉川永里子
イラスト:上坂じゅりこ
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