引越しの挨拶品に“のし”は必要? 使用する際のポイントと正しいマナー
最終更新日 2017年02月15日
引越し先で、ご近所やこれからお世話になる方に挨拶品を贈ろうと考えている人もいるのでは。最初の印象は肝心ですし、できる限りいいイメージをもってほしいものです。とはいえ、「贈り物というと、“のし”を付けなければいけないのでは」「どんな品を贈ればいいのか」など心配になる点も。引越しの際の挨拶品の正しいマナーについてマナースクール代表の諏内えみさんに伺いました。

引越しの挨拶品にのしは必要?
贈り物をする際、必ずしも「のし」が必要というわけではありません。基本的には、リボンでラッピングする程度で十分でしょう。しかし、目上の人などに贈るときにのしを付けたい場合は、きちんと使い方や作法を知っておく必要があります。
「本来、のし紙の『のし』とは、アワビを熨(の)して乾燥させて保存食にした貴重な品のこと。諸説ありますが、そこからアワビを和紙に包んだ絵を『のし』と称して贈答品に添える慣習が定着しました。この絵が印刷された紙がのし紙と呼ばれています。ご祝儀袋の右上についているものも同様です」(諏内さん)
のし紙は、冠婚葬祭や季節の挨拶などの際に、品物を贈るときに使われます。また、地域によって習慣が違うので、新しく別の場所に引越すときには注意が必要です。

引越しの際に使うのし紙の種類や書き方
のしにはさまざまな色や種類があるので、慶事用や弔事用など贈る目的によって使い分ける必要があります。引越しで使用する場合の一般的な種類と書き方をしっかりおさえましょう。
・使用するのし(水引)の種類
のしを付けて引越しの挨拶品を贈る場合は、水引が蝶結びのものを選びましょう。蝶結びののしは、内祝や出産内祝、御中元・御歳暮といった場面で使われます。結び直しができることから、“何度繰り返しても良い”お祝い事に使います。ちなみに、水引が結び切りタイプのものは、固く結ばれて離れないことから婚礼関係の祝事や、1度きりという意味でお香典などに使用されます。
・表書きの書き方
のし紙の上段中央には表書きを書きます。このとき、文字が水引やのしにかからないように注意が必要です。引越しの挨拶品の場合は、“御挨拶”または“粗品” が一般的。下段には、表書きより少し小さく贈り主の名前を書き入れます。正式なマナーでは、黒墨の毛筆を使用するので、毛筆もしくは筆ペンで書くのが○。
・のしの付けかた
のしには、「外のし」と「内のし」の2つの付けかたがあります。「外のし」とは、商品を包装した一番上にのしを掛けること。関東近県では、外のしを指定される方が多いです。「内のし」とは、のしを掛けた上に包装する方法。西日本の方は、内のしを指定される方が多いと言われています。
相手の方の祝い事以外は、控えめな気持ちを表すため内のしを使います。また、すぐに開封されないであろうと予想できる場合には外のしのほうが○。開けなくても誰からの贈り物なのかが分かりやすいためです。

のしを付けて贈る際の注意点
のしの種類や書き方に気をつけるほか、選んではいけない品物や渡すときのマナーも存在します。贈るときには2つのポイントに注意が必要です。
・ナマモノには不要
のし自体があわびの代用となった「ナマモノ」にあたるので、魚介類や肉、ナマモノを贈る場合はのしを付けないのがルールです。
・渡すときは相手に名前が読める向きに
のしを付けた挨拶品を手渡しで贈る際には、必ず相手の方に名前が読める向きにして渡すのを忘れずに。そして、品物に両手を添えながら、「心ばかりですがお納めください」、と丁寧に挨拶できれば印象も良いでしょう。のしを付けるときのマナーだけでなく、相手に渡すタイミングでもマナー違反にならないよう注意が必要です。

挨拶品におすすめのもの
渡すときのマナーだけでなく、どんな挨拶品を贈るかによっても印象が変わってきてしまうものです。せっかく贈るのだからこそ、相手から喜ばれるものを選びたいですよね。そこで、挨拶品におすすめのものをピックアップしました。
・引越しそば
引越しのときの挨拶品として定番の「引越しそば」。最近ではアレルギーの心配や相手が好むかどうか分からないために薄れてきている習慣かもしれません。
・菓子折り
近所への挨拶だけでなく、仕事先や子どもがお世話になる学校や習い事などにもぴったり。王道の挨拶品かもしれません。できる限り日持ちをするものを選んでおいたほうが○。好みもあるので、あまり奇をてらわずに万人受けするようなマドレーヌやクッキーなどがおすすめです。
・地域の名産品
引越し前に住んでいた地域の名産品も喜ばれます。どこから越してきたかも伝わりますし、会話のきっかけにもなりそうですね。
・誰でも使うものや消耗品
引越し先の相手の好みなどは分からないもの。なかなか相手に合わせたものを贈るというのは難しいでしょう。そこでタオルや洗剤など、誰でも使うようなものや消耗品も○。もらって困らないもの、というのは大事なポイントです。

ご近所に挨拶をする範囲は?
ご近所にはどこまで挨拶をしたらいいのだろう、と悩む人も多いのではないでしょうか。近ごろではご近所に挨拶をしない人も増えてきています。地域によっても必要な範囲は大きく変わりますが、今後も顔を合わす機会が多いなど交流があるかどうかがポイント。今後の付き合いがあることが予想される場合は、できる限り挨拶に行っておくと安心でしょう。
・マンション・アパートに引越しした場合の挨拶
左右の部屋だけでなく、お子さんがいてご迷惑をかける可能性がある際は、上の階・下の階の住人にも挨拶しておくと安心です。日ごろから顔を合わす機会も多いのが隣に住んでいる住人。これから挨拶することも増えますし、何か生活する上で困ったことがあったときに助けてもらえることも。今後隣人とのトラブルを防ぐためにも、最初の挨拶は肝心です。どんな人が住んでいるのか知るためにも挨拶しておいたほうがいいでしょう。また、生活するうえで足音などの生活音はけっこう気になるもの。そのためにも、上下の階に住んでいる人にも挨拶しておいたほうがいいでしょう。
・一戸建てに引越しした場合の挨拶
一戸建てに引越しした場合は、両隣や裏手のお宅には今後の付き合いが発生するため挨拶しておいたほうが無難でしょう。ここで気をつけたいのが、住んでいるエリア内で町内会などの交流が多いかどうか。それによって、あらかじめ挨拶しておいたほうがいい範囲が変わってきます。自治会長のお宅が分かっている場合は、挨拶とともに住んでいる周辺の情報を聞いておくといいかもしれません。
簡単に挨拶する程度ならば、のしは必要ないもの。しかし、近隣住民のかたとは今後末永く付き合っていく可能性もありますよね。のしを付けて渡すと、きちんとした印象が残ります。のしの使い方や作法だけでなく、渡すときもできるだけ丁寧にマナーを心がけましょう。
取材協力:諏内えみ/マナーアドバイザー
掲載:2017年1月13日
写真:PIXTA
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