引越しは地震対策のチャンス? 引越し会社の耐震サービスとは
日本は地震大国と呼ばれるほど地震が多く、いつ災害に遭ってしまうか予想がつきません。
その日本で暮らす以上、住まいにも何かしらの地震対策を行っておきたいところです。家の土台の基礎工事から耐震を施すとなると予算も期間もかかるので大事ですが、家具に耐震パーツを取り付けるくらいなら今からでもできそうな気がしますよね。
とはいえ、それはそれでひと仕事。家具に耐震パーツを取り付けるには重い家具を動かす・持ち上げるといった作業が必要で、慣れていないと大変なうえに、体に負担をかけてしまうことも……。このように、日常の忙しさに紛れて家具の地震対策がなんとなく後回しになっている人も多いのではないでしょうか。
引越しは家中の家具類を動かして新居に運び入れる作業。ということは、家具類に耐震装置を取り付けるには絶好のチャンスなのです。そして、引越し業者によっては、引越しのついでに地震対策を施すサービスを提供しているところがあります。
今回は、実際にそうしたサービスを行っているアート引越センターを例に、どのような耐震サービスをしているのか調査してみました。

耐震って重要? 家具にするだけで効果ある?
さて、地震への備えが大事なことは頭で理解できても、危機感をともなったイメージをもつのはなかなか難しいかもしれません。そもそも「自分の住んでいる地域が大規模な地震に見舞われるかも」と想像してみても、いまいちピンとこないという人も多いのでは?
今回ここでは少しでも耐震への意識を高めるために「こんな簡単なことである程度の地震対策が施せるんだ!」ということを知っていただきたく思います。
まず最初に理解していただきたいのは、「地震被害を減らすには家具類への地震対策が非常に効果的」ということです。
2015年(平成27年)度に東京消防庁が発表した資料によれば、近年の地震でけがをした人のうち3~5割が「家具類の転倒・落下・移動」が原因で負傷していることが分かったそうです。
「家具類の転倒・落下・移動」による被害と聞くと、どのような状況か想像がつくでしょうか。おそらく「本棚やタンスなどの大型家具が倒れてきてその下敷きに…」や「割れた窓ガラスが降り注いで…」といった映像だと思います。家具類の転倒・落下・移動による被害にはそれも含まれるのですが、それだけで済まないのが怖いところなのです。
まず、家具類の転倒は火災の原因となりえます。ストーブの近くに家具が置いてあり、その家具がストーブに向かって倒れた、あるいは落ちた場合、家具に火が燃え移る可能性があります。揺れを感知して自動的に火が消える機能のストーブでなければ、ストーブ自体が倒れるだけで床や壁が燃えてしまう恐れも。
2015年(平成27年)度に行われた火災予防審議会(地震対策部会)では、「家具類の転倒・落下・移動を防止する対策を施すことで、地震時の出火を減らし、ひいては地震火災による死者数を大幅に減少させることができる」ということが示されたそうです。
また、家具類が避難経路に倒れる・落下する・ずれて移動してくるなどすると、これにつまずいて転ぶ原因となります。災害時は普段時に比べて冷静さがいくらか損なわれていますので、こうした障害物に足を取られる確率も増加します。
そして、家具類の位置が変わると避難経路が確保できなくなる可能性もでてきます。「玄関に続く廊下が家具で丸々塞がれてしまった」という極端なケースはなかなか想定しにくいですが、窓やドア、玄関の扉の一部が塞がれただけで開閉できなくなってしまうことは十分にありえます。これにより避難が遅れる、または避難が不可能となり、被害が拡大するおそれがあります。
このように、地震時における家具類の被害にはさまざまなケースが想定されます。ということは、家具類の転倒・落下・移動を防ぐことができれば、こうした地震被害は大幅に減らすことができるのです。

引越し会社の耐震グッズ取り付けサービスって? 費用は?
地震被害の多くの原因となっている家具類を固定するには、ホームセンターなどに売っている耐震グッズを家具類に取り付けるのが手軽な方法です。
しかし、冒頭でも述べたとおり、重い腰はなかなか上げにくいというのも事実。耐震グッズを取り付ける家具は何かを選定し、寸法を測り、どのようなグッズを取り付けるかを検討して、それをホームセンターや通販などで購入してようやく取り付け作業に取りかかれます。
アート引越センターでは、家の中のものを一斉に移動させる引越しという機会を利用して、家具類に耐震マットを装着するサービスを行っているそうです。この時使う耐震グッズは量販店などで手に入るものですが、震度7の揺れを再現する実験でも家具が倒れなかった商品で、地震への対策としても期待できそうですね。
ジェルマットの装着には、現場のスタッフがそれぞれの家具類に適したものを選んで使うので、自分でサイズなどを調べて用意する手間がかからないのも魅力です。
「引越ししてから自分でやろうと思う方も多いかもしれませんが、家具を持ち上げるのって大変ですよね。男性2人で持ち上げて、さらに耐震マットを設置……となると結構大変です。それに、失敗するとそのままくっついてしまうので、プロに任せたほうが無難です」とアート引越センター。
気になるのは耐震マット装着の作業料金ですが、これは引越しを頼んだ場合に限り無料(商品代の実費のみ)になるそうです。また、引越しをせずに耐震ジェルマット装着だけを希望の場合も、対応はしてもらえますが、その場合「商品代の実費+設置の手数料」がかかるそうです。
それなら、引越しの際にお願いしたほうがお得というもの。どのみち耐震グッズを購入する際に商品代がかかるわけですから、アート引越センターにお願いすれば諸々の手間が省ける分だけ楽に地震対策を講じることができますね。
引越し時に耐震グッズの取り付けを行っている引越し業者はアート引越センターだけではありません。引越しを機に家具類の地震対策をしたいと考えている人は、そうしたサービスの利用を積極的に検討してみて損はないでしょう。

自分には無縁と言い切れない「地震」
地震は、日本に住んでいる以上は避けて通ることのできない自然災害といってもよいでしょう。その被害を少しでもやわらげるために必要なのがしっかりとした対策です。家具に取り付けるだけの地震対策なら、手間もさほどかからず簡単ですね。家具を動かすのは大変ですが、引越しのタイミングなら引越し業者に頼むことができます。この機会に、住居の地震対策を行ってみてはいかがでしょうか。
取材協力:アート引越センター http://www.the0123.com/
掲載:2017年2月27日
写真:PIXTA
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