引越し時の傷や汚れから新居を守る「養生」って、どんなもの?
公開日 2017年03月16日
引越し当日は、限られた時間のなかでたくさんの人や荷物が出入りするので、どんなに注意を払っても知らず知らずのうちに傷や汚れがついてしまうのは避けられません。
でも、真新しい新居に傷や汚れがついてしまうのは、あまりいい気分ではありませんよね。
そのため引越し業者では、荷物を運び入れる前に、傷がつきやすい場所を中心に専用のカバーで保護をしてくれます。これを「養生(ようじょう)」といい、物や人が当たってもこすれても、壁や床に直接傷や汚れがつくのを防いでいます。
とはいえ、どこにどんな養生をしてくれるのか、料金はいくらくらいかかるのか、荷物が少ない単身者の引越しでもきちんと養生をしてもらえるのかなど、分からないことだらけ。
そこで、養生について、アート引越センターの方にお聞きしたことを中心にまとめてみました。

引越し業者が設置してくれる養生の範囲とは?
アート引越センターによると、引越し業者へ依頼した場合にしてもらえる養生は、ファミリーか単身者か、荷物が多いか少ないかなどで区別されることはなく、また、各社で設定している単身パックなどのプランも含めて、すべての引越しで同じように設置してくれるそうです。
ただ、物件の条件によって、設置する場所が変わってくることはあるとのこと。
標準的に養生をしてくれる場所は、
・最も出入りの多い玄関
・角になっている部分(廊下の曲がり角など)
・人や家具が通る場所の両サイドの壁と床、手すり
とのこと。また、一戸建ての場合は階段のまわりにも養生をします。基本的には、通り道と、大型の荷物を置く部屋を重点的に養生するそうです。
例えば大きな家具などは運ばず、ダンボールしか運び込まない部屋では壁などへの養生はしないそう。ただ、荷ほどきのときに多少箱を引きずっても大丈夫なように、床にはダンボール用のフロアシートを敷いてくれます。意外と傷つきやすい床を保護してもらえるのはありがたいですね。
「冷蔵庫のような、大型で重量のある家電や家具を運び入れる際は、本来設置する場所にたどり着くまでのあいだに仮置き用の資材を用意して、中継地点を設けています」(アート引越センター)
プロといえども、重たい荷物を配置したい場所まで一気に運ぶのは危険が伴うこともあるため、一度下ろして担ぎなおすことも。そのとき、養生をしていない床の上では、たとえ仮置きでも傷がついてしまうことがあるので、あらかじめ必要そうなスポットに仮置き場を用意しておくのだそうです。
なお、「マンションのエントランスやエレベーター、廊下などのように、住人の共用スペースについても、荷物が通るところには養生をします」(アート引越センター)とのことなので、引越し前にマンションの管理組合などに確認しておくと、のちのちトラブルにならずに済むでしょう。

養生の資材にはどんな種類が? 設置場所は?
長年の経験をもとに、傷や汚れが付きそうなところへあらかじめ養生を設置してくれる引越し業者による引越し。ただガードするだけでなく、それぞれの場所に合った資材を使用して、より安全に搬入できるようにもしています。
・プラスチック製のパネル
プラスチック製で硬さがあるので、家具などの角が当たっても、傷が下まで影響しません。玄関や各部屋のドア、壁、柱やコーナーなど、傷がつきやすいあらゆる部分をガードしてくれます。エレベーターなど、マンションの共用部分のガードにも使用します。
・キルティングマット
綿の入った布製のマット。プラスチック製のパネルよりも滑りにくく、衝撃を和らげる効果もあるので、床や廊下、階段に敷いて使用します。
・フロアシート
ダンボールなどの摩擦による床への傷を防いでくれます。ダンボールを置く場所の床に敷いて使用します。
大型荷物の仮置き場に敷く場合のシートは、ダンボール用よりも固めのものを使用します。
・滑り止め付き階段マット
階段を保護すると同時に、滑り止め効果で安全に荷物を運べるようになっています。
(すべてアート引越センターの場合)
なお、養生にかかる費用は、基本料金に含まれている引越し業者がほとんど。ただ、まれに別料金の引越し業者もあるので、見積もりの際には料金の内訳をしっかり確認するのがよさそうですね。
また、もし追加で養生をお願いしたい場所がある場合は、引越し業者によっては追加料金が発生するところもあるので、あわせて確認しておきましょう。

しっかりガードしていても傷が? 養生に関する注意点
養生をしっかりしていても、まれに、掃除や片付けをしているさなかに傷などを発見することがあります。なかには、搬入時なのか、片付けの最中についた傷なのか分からずトラブルになるケースもあるので、引越し当日は次のことに注意しておきましょう。
1:養生をする前(新居に業者が入る前)に、部屋の中を確認しておく
壁や床、コーナーなどに傷や汚れがないか、できるだけ細部までチェックしておきましょう。
2:養生の設置や撤去の工程をきちんと見ておく
養生の固定でテープなどを使用する場合は、粘着部分の残らない専用のテープを使用しますが、まれに痕が残ったり、クロスが剥がれたりしてしまうことも。また、養生の資材を出し入れしている際に資材が当たってしまう可能性もゼロではないので、設置や撤去のときはその場に立ち会って確認すると、のちのトラブルを回避できます。
3:傷などのチェックは、引越し当日のうちに
荷物も運び終わり、疲れて一休みしたいとは思いますが、傷や汚れの確認は必ずその日のうちにチェックするようにしましょう。できれば、掃除や片付けを始める前がベスト。時間や日がたつにつれて、あとからついた傷や汚れと見分けがつかなくなってしまうからです。
引越し業者によっては、搬入作業の終了後に立ち合いのもとで確認してくれるところもあります。
万が一引越しによる傷や汚れを発見したときは、できるだけ早く引越し業者へ連絡しましょう。傷や汚れを確認したうえで、補償などの対処をしてくれます。

自力での引越しの場合でも、養生は必要?
個人での引越しを考えている場合は、もちろん養生も自身で用意しなければなりません。
「荷物が少ないから」と省いてしまう人もいるようですが、家財が壁などに当たってしまったとき、壁などだけでなく自分の家具や家電まで傷ついたり、賃貸であれば退去時の修繕費が高くなってしまうおそれもあるので、簡単にでも養生をしておいたほうが安心です。
なお、入居先によっては、共用スペースに養生をしない引越しは禁止しているところもあります。
個人で養生を用意するには、養生用の資材を購入するほか、ダンボールやエアクッションなどで代用したり、レンタルしたりする方法もあります。
せっかく引越した新居、できるだけキレイに住み続けたいですよね。引越してきた初日から壁に傷をつけてしまってガッカリ……というようなことを避けるためにも、壁や床、ドアなどにはしっかりと養生をしておくのがおすすめ。引越し業者に作業を頼んでいる場合はお任せできますが、個人での引越しの場合はほかの準備に追われて、養生のことは忘れがちかもしれません。しっかりと意識しておき、気持ちよく新居に入れるようにしたいですね。
取材協力
アート引越センター http://www.the0123.com/
掲載:2017年3月16日
写真:PIXTA
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